ファッション
洒落者の「定番アイテム」を拝見!ファッション業界5人の愛用品
2022.02.15
さまざまなファッションアイテムのなかでも、ずっと使い続けている、もしくはもう手離すことができない“自分的定番品”。
今回、そんな自分的定番品を、服が大好きなファッション業界のみなさんに聞いてみました。 価格やステイタスではない、スタイルやストーリー重視の定番品は、説得力が違います!
Edit&Text/Kazuyuki Nomura Photo/Tatasuya Irie
MFC STORE・近藤浩人さん「人をダメにする!? DOBON PANTS」
大のスニーカー好きとしても知られる、MFC STOREプロデューサーの近藤さん。普段のカジュアルは楽で、ストレスなく着用できるものが絶対条件というが、そんな近藤さんのマイスタンダードは同ショップがオリジナルで製作した、その名も「DOBON PANTS」だ。
「名前の由来は、昭和生まれ世代だったら聞き覚えのある『ドカン』と『ボンタン』を組み合わせたもの。見た通り、ワイドシルエットのとっても太いパンツです。
ぱっと見はイージーパンツっぽいんですが、ベルトループもついていて、太いけどだらしなくならない。とにかく穿き心地がよくて、めちゃくちゃ楽なんで最近はこればかり履いています。スタッフたちの間では“人をダメにするパンツ”とも呼ばれているほど(笑)」
スニーカーを履いた時も地面に擦らないよう、ドローコードをつけるなど、大のスニーカー好きらしい近藤さんならではの視点も◎。大人気商品で、LeeやDickiesといった名だたるブランドとのコラボ品も発売されている。
ソーズカンパニー・前田康幸さん「毎日履いているミリタリーソックス」
自身が手掛けるブランド「COMMON EDUCATION」も人気となっている前田さん。自分的定番品はいくつかあるなかで、特に最近お気に入りというのがこのソックスだ。毎日のように履くものだけに、しっかりとしたタフさを備えながら、機能的で、履きやすいことにとことんこだわった1足だそう。
「自分のブランドで恐縮ですが(笑)、ホントにデイリーで快適に履けるソックスに仕上がったので僕自身毎日履いています。デザインソースはアメリカ軍のミリタリーソックス。大阪の足袋を作っている靴下屋さんと何度も試作を重ね、作ってもらったものです。
ウールにコットンを混紡することで肌触りの良さとクッション性、タフさがプラスされています。この手のパイルソックは分厚いものが多いのですが、より履きやすいよう厚さが抑えられているのもポイントです」
足裏部分はパイル仕様なのでクッション性もよく、ブーツにもおすすめだそう。履き口のリブ下からくるぶしくらいまでの部分は経糸を少し緩めにするなどこだわりが満載。秋冬春と3シーズン、デイリーで活躍してくれる逸品だ。
hallelu店主・加瀬善隆さん「キャンプでも使えるロシア軍のマグカップ」
ミリタリーウェアやギアに精通し、ミリタリーアイテムを取り入れたキャンプも実践しているhalleluの店主、加瀬さん。4年くらいずっと使い続けているという自分的定番品は、見た目の雰囲気も抜群なロシア軍のマグカップ。軍モノでは珍しいホーロー製で、日常はもちろんキャンプにも持っていき使っているそう。
「1940〜90年代、ソビエト連邦が崩壊するまで軍でも使われていたものです。軍モノのカップでホーロー製はほとんどみかけないですが、これはホーロー製で、見た目と雰囲気がとても気に入っています。
家で毎日のように使っていますが、キャンプの際も焚き火台に直火で置けるので重宝しています。少々傷がついてもそれが味になるのが軍モノのよいところ。使うほどに愛着が湧き、今では手離せなくなっていますね」
軍だけでなく、ロシアの一般家庭やや食堂などでも使われていた、言わばロシアの大定番品と言えるホーロー製のマグカップ。男心をくすぐる武骨な佇まいも◎。
Hummingbirds’hill shop店長・大場岳さん「軽くてしなやかなレザージャケット」
アメリカンヴィンテージをベースにしながら、独自のアレンジを加えたファッションを提案する人気ショップ「ハミングバーズヒルショップ」。
店長の大場さんが自身も愛用しているマイスタンダードとして紹介してくれたのが、鹿の角を使用したシャンデリアを製作することで有名な「ディアホーンスミスズ」に同店が別注した、ディアスキン製のレザージャケット。
「僕らが好きな5ポケットパンツやチノパンに合う、大人のレザージャケットをテーマに、ディアホーンスミスズに製作してもらいました。デザインはLevi’sの1930〜40年代のデニムジャケット、通称1stを参考にしています。
北海道のエゾ鹿革を贅沢に使い、レザージャケットながらとても軽く、しなやか。全くストレスなく着用できます。よくあるネイビーカラーではなく、インディゴ染めになっているのもポイント。着込むほどに味がでて、5年、10年とずっと愛用できる一着だと思います」
フロントやカフスのボタンには、インディゴ染めされたディアホーン(鹿角)が使われるなど、かなり手の込んだ作り。まさしく一生モノとして、長く愛せる1着となっている。
オーバーリバーPR・畠中将秀さん「10年履き続けているJ.M.WESTONの♯180ローファー」
国内外問わず人気ブランドのセールス、PRを手がけ、大のギア好きとしても知られる畠中さん。
特に思い入れがあり、購入時からリペアしながら大事に履き続けているという1足は、J.M.WESTONの♯180ローファー。1946年の誕生以来、コインローファーの代表格として世界中の靴好きを唸らせてきた、言わずと知れた名作だ。
「今の会社で働き始めて、最初の年のクリスマスに自分へのご褒美として買ったJ.M.WESTONのローファーです。当時はまだ若く、10万円オーバーの靴を現金で買うのには勇気が入りましたが、以前から憧れがあって思い切って購入した思い入れのある1足です。
何度もリペアし、ソールを張り替えながらもう10年くらいは大事に履き続けていますが、全然飽きない。その長い歴史もさることながら、フランスがつくるアメリカントラッドという点も、自分的に好きなところ。やはり名作と呼ばれるものにはワケがありますね。これからもずっと履き続けたいです」
トゥにはスチールを装着。つま先を保護すると共に、歩くとカツカツと音がする靴好きにはお馴染みの仕様。10年近く履き続けているというがとてもキレイで、大事に履いてきたのが分かる。
***
服好きのスタイルマスターが手離せないという、自分的定番品。使い続けるには、やはりしっかりとしたワケがあります。ぜひ、今後のお買い物の参考にしてみてはいかがでしょう。