ファッション
スタイリスト菊池陽之介さんに聞く!“カラー”で選ぶ長袖シャツが旬ってホント!?
2021.08.06
月にほぼ2回のペースで忘れた頃にやってくる、人気スタイリイスト菊池陽之介さんによるトレンド指南。メンズファッション界に流れる新たな定説の真偽を解説し、その理由を関連アイテムとともに紹介していく。
連載4回目となるこの度の議題は、「夏のシャツ選びのポイントが“カラー”にある」というウワサ。しかも、夏なのに半袖ではなく長袖らしく……。そこんとこどうなんですかね、キクチさん!? ウワサの真相はもちろん、シャツの着こなしポイントやキクチさんの私物までご紹介!
Edit&Text/Naoki Masuyama
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スタイリスト
菊池陽之介
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1979年生まれ、神奈川県出身。幼少期からファッションに親しみ、2000年にスタイリスト熊谷隆志氏に師事。2004年に独立。現在は雑誌、広告、俳優のスタイリングで活躍するほか、キッズブランド「SMOOTHY」のディレクションも手がける。趣味は海釣り。
今回はシャツのお話ですね。“カラー”が選びのポイントになる、と。まあ、若干僕の提案的なものも含まれますが、正解といえば正解です(笑)。ただし、この場合の“カラー”はふたつの意味を含みます。
まず、色について。これは、やはりモノトーン系が無難ってこと。夏らしい陽気な柄も捨てがたいのですが、えてして飽きやすく、子供っぽくなりがちで、コーディネイトのパターンも限られます。派手なシャツを着た場合、合わせるアイテムは必然的にシンプルに落ち着くわけですから。
となると、どこで夏らしさをアピールするのか。そこでもうひとつの“カラー”、つまりは襟が鍵を握ります。ずばりおすすめなのが、開襟。このわずかなディテールが解放感につながり、ちょっとした洒落感をアピールしてくれるはずです。
また、長袖をポイントに挙げたのはアレンジが効くから。薄い素材感のものなら羽織りもの感覚で使えて、どうしても暑かったら袖をまくってしまえばいい。そのくらいラフな着こなしのほうが、今の気分に合っているとも思います。気付けばもう真夏ですし、スリーシーズン着られるロングスリーブの方がおトク感ありますしね!
キクチさんイチオシの長袖シャツは?
オススメ① バグッタのシャツ
まずは、サルトリアの品格が宿るイタリアのシャツブランド「バグッタ」より。カーキカラーとフラップ付きの胸ポケットがどことなくミリタリーな匂いを放ちますが、上品な仕立てによってワイルドすぎない仕上がりに。シャリっとした質感のコットン生地が、涼しげな印象を与えます。
シルエットにはゆとりがあるので、すべてのボタンを外して羽織るだけでもいい感じのリラックス感が出るはずです。いずれにせよ、サラッと着こなしてもらいたいですね。
オススメ② ギローバーのシャツ
こちらの「ギローバー」も、イタリアの名門として知られています。なかでも今回は、ファッショニスタとして名高いアレッサンドロ・スクアルツィ氏のブランド「フォルテラ」とのコラボレーションモデル。「エルビス」というモデル名のとおり、某有名ロックスターからインスピレーションを得た1枚です。
ヴィンテージの開襟シャツをベースとしつつ、スクエアテイルや裾脇のスリットなどでジャケット然とした見え方に。セルビッジのシャンブレー素材でワークテイストを落とし込みながら、シルエットはあくまでエレガント。このバランスが、実に洒落てます。
オススメ③ メゾンスペシャルのシャツ
気鋭のジャパンブランドからも、気になるアイテムがリリースされています。「メゾンスペシャル」のシャツは、肩の落ちた大胆なビッグシルエットがモードな雰囲気。開襟仕様のディテールが、シックなオールブラックにヌケ感を与えます。フロントのビッグポケットもアクセントになり、黒一色ながら平坦に見えません。
サスティナブルな素材も気持ちいいポイントで、適切な森林管理を示す『FSC認証』を受けたヴィスコースを混紡。レーヨンの一種であるヴィスコースの採用は、生地の表面に現われる上品な光沢にも繋がっています。
オススメ④ 221ヴィレッジのシャツ
粗野な質感をあえて残しながらも、ドレッシーな雰囲気に。軽快なシルクリネンを使ったこの1枚は、第1ボタンを開けることで開襟のようなビジュアルとなるユニークな仕立てになっています。
とはいえ全体的な作りはスタンダードなので、コーディネイトの自由度は高い。無造作に袖をまくってできたシワ感も、ひとつの味になってくれます。素材に重きを置くブランドの魅力が詰まった、傑作と呼べるシャツです。
キクチさん愛用の私物を!
ここからは、僕のお気に入りのシャツをご紹介。ポリエステル製なのに優しく軽い肌触りがうれしい、スティーブンアランの1枚です。
スティーブンアランのシャツ
綺麗なカーキカラーもポイントで、ミリタリーに傾きすぎない絶妙な塩梅。基本的にモノトーン(特に黒)のスタイリングが好きなのですが、それらの服ともうまくマッチしてくれます。
今回は、黒いTシャツと白いショーツに合わせてシンプルにまとめました。シャツの内側にミニバッグを挟み込んでライトアウターっぽく着たりするのも、長袖だからこそ楽しめるアレンジかと。ぜひ、お試しあれ!
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