ファッション
スタイリスト菊池陽之介さんに聞く!
「今年の夏はブルマが旬」ってホント!?
2021.06.30
多方面で活躍する人気スタイリストの菊池陽之介さん、通称キクチさんを講師に招き、世のファッショントレンドのウソ・ホントを問う今連載。
第2回目のテーマは「足元にブルマが旬?」という、にわかには信じがたいウワサ。そこんとこどうなんですかね、キクチさん!?
第1回目はコチラ▶「白Tよりも色Tがアツい」ってホント?
Edit&Text/Naoki Masuyama
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スタイリスト
菊池陽之介
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1979年生まれ、神奈川県出身。幼少期からファッションに親しみ、2000年にスタイリスト熊谷隆志氏に師事。2004年に独立。現在は雑誌、広告、俳優のスタイリングで活躍するほか、キッズブランド「SMOOTHY」のディレクションも手がける。趣味は海釣り。
今年の夏はブルマが旬…ってマジか!?
――キクチ’s Conclusion――
そうそう意外でしょ……って、どういう耳しちゃってんのよ。変態みたいなこと言ってこの連載を早速打ち切ろうとするのはやめてください(笑)。旬なのはブルマじゃなくて、「グルカ」。旧インド軍のグルカ兵が履いていた軍靴を発祥とするグルカサンダルです。
毎年、夏になるとサンダルが恋しくなりますよね。ただし、シャワーサンダルなどのいわゆる“つっかけ”系の人気はひと段落した模様で、今季はよりシューズライクなサンダルが注目されています。アウトドア系でも爪先やかかとをガードしてくれる“水陸両用”のサンダルが増えてきたり。その源流、もしくは大人版と言えるのが、革靴とサンダルの長所を掛け合わせたようなグルカなのかなと思います。
履き心地はラクですが、見た目は非常にエレガント。レザー製のしっかりした作りなので、数シーズンは活躍してくれます。一般的なサンダルよりも幅広いTPOに対応しますし、一足持っておくと安心感が違いますよ。
キクチさんのイチオシのグルカサンダルは?
オススメ① パラブーツのパシフィック
フランス生まれのコンフォートな革靴として有名な「パラブーツ」。そのなかでもこの「パシフィック」は、まさに名作です。個人的にも愛用していますが、とにかくレザーが柔らかくて、インソールはクッション性抜群。グルカの王道ともいうべき品のある佇まいもいいですね。
デニム、スラックス、チノなどどんなパンツにも合わせやすいオールマイティで、気持ちはリラックスしながらもコーディネイトをピリッと引き締めてくれます。
オススメ② リプロダクションオブファウンドのイタリアンミリタリーサンダル
軍モノを再解釈して表現するシューズブランドらしく、実在した80年代のイタリア軍用グルカサンダルをモダナイズ。そのモチーフがインソールに記されていたり、実際に軍用シューズを作っていたスロバキアの工場でハンドメイドされていたり、背景も含めて面白いですね。
牛革で形成されたコロンとしたアッパー以上に存在感を放つのが、ゴツい厚底のタクティカルソール。耐久力などの実用性だけでなくデザイン的にポイントになるので、軍パンやデニムなどのアメカジアイテムと合わせても埋もれることはありません。
オススメ③ ダブルエイチのWH2S-0900
日本でも指折りのシューズデザイナーである坪内浩さんと、著名ファッションディレクターの干場義雅さん。ふたりのイニシャルを名前に冠したコラボレーションブランド「ダブルエイチ」のグルカは、やはり完成度の高さを感じさせますね。
カーフレザーを贅沢に使ったドレス寄りのルックスは、短靴にも劣らずエレガント。そのうえで軽量、ソフトタッチといった快適性能を追求しています。
オススメ④ フランテッリ ジャコメッティのFG442
丁寧な手仕事が光るイタリアの名門からも、グルカサンダルは定番としてリリースされています。こちらはそのスリッポンタイプ。ストラップなどの金具がないぶん、シボ革の高級感を嫌味なくコーディネイトに組み込めるのではないでしょうか。
トゥに向かうにつれて細身になるシルエットは、まさしく上品なイタリア式。スラックスはもちろんハマりますが、あえてゆったりしたイージーパンツに合わせるのも気分ですね。
ということで、今季の旬な足元はブルマではなくグルカ。ゆめゆめお間違いのないよう……。ちなみに、グルカビギナーの方には断然ブラックがオススメです。合わせやすく、日本人の白い足とも相性がいいですから。また、ソールは歩きやすいラバー系が無難ですよ!