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「新生活」、そんな言葉が飛び交う季節。「今まで通り」から、少しでも自分を変えれば楽しい毎日に。新しい靴で出かけたり、仕事道具を一新したり、初めてのものを食べてみたり、触れるものが変われば、気分も変わり、いつもと違う日常を感じられるはず。「自分らしい」にこだわり過ぎず新しいモノを買って、自分を変えてみませんか?

Model : ARATA IURA
Photos : TATSUYA YAMANAKA(Q+A)
Styling : KENTARO UENO(KEN OFFICE)
Hair&Make : ATSUSHI MOMIYAMA

レトロ柄×ジャージで昭和感を強調

時代感やジャンルの違うアイテムを組み合わせるミックスがトレンド。そこでGOODA読者にオススメしたいのが昭和感のある柄・素材や、ハンドメイドなどひとクセあるアイテムをミックスした個性ある大人っぽい春コーデ。トレンドを意識しながら、自分らしいスタイルを確立して、外に出かけよう。

男らしいネイビーのワントーンも

オーバーオールで個性をプラス

ヴィンテージテイストなコートは

スニーカーと合わせて今風に

素材違いのアイテムをミックスし

コーディネートに立体感を

Interview

 自身がディレクターを務める「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のコーディネートで登場した、井浦新さん。役者、ファッションディレクター、山下裕二さんが団長を務める「日本美術応援団」の団員と、いくつもの顔をもつ希有な俳優だ。

「服づくりは、20年ほど携わっています。前身のブランドでは、服を通して“自分を示さなきゃ”と力が入っていた気がしますが、今は、デザイン性と実用性を同等にとらえ、“使う人が服をどう楽しめるか”を大事にしています。服づくりも俳優も、新しいことに挑戦し続けることが大切だなと思います」

 丁寧に言葉を選びながら話す彼の姿から、すべての役割に真摯に取り組む姿勢が感じられる。常に、挑戦し続けるための原動力は何だろうか。

「旅することです。20代の後半から日本の隅々まで訪れようと、国内にこだわって旅しています。その土地の民族性や風土記、習慣や伝承などのルーツを自分の目で見て確かめたくて、カメラやノートで記録しながら旅するスタイル。日本の手仕事、職人の皆さんを応援する活動も、旅で出会った縁から始まりました」

「僕から好奇心をとったら、何も残らないかも」と自己分析する井浦さんは、俳優の仕事について、印象深い表現で語ってくれた。

「さまざまな監督の元へ旅芸人のように流れて、いろんな人物になっていく……。芝居をしているときと、旅をしているときの感覚は近い気がします。旅で得た経験は自分の血肉になり、すべての表現活動に活きているので、旅はすべての源流。日本の知らない景色や歴史を知るために、これからも新しい土地へ積極的に足を運びたいと思っています」

 2018年3月17日、井浦さんが生涯忘れられない“旅”となった作品が公開される。10年来の友人でもある、かなた狼監督の映画『ニワトリ★スター』だ。

「原作が生まれるずっと前から、かなた監督とは、一人のアーティストとして一緒に時間を過ごしました。彼が『いずれは映画を撮りたい。(井浦さんと)一緒にやりたい』と言ってくれたので心の準備はしていましたが、まさか主人公だとは。作品を生み出すまで彼が苦しんでいた姿を知っていたので、自分も覚悟をもってこの作品に挑みました」
 しかし、かなた監督の製作スタイルは、かなり独特だったようで……。

「監督からひと言、『今まで新がやってきた芝居が数ミリでも見えたら、オレは許さない』と。演技するのではなく、映画の世界の住人になることが求められました。共演の成田凌とは撮影がスタートする10日前から二人暮らしをして、あえて、しょうもない生活を送りました(笑)。おかげで、凌とはいい関係が作れました」
 作品が卵になる前から見守ってきた井浦さんに、今の率直な気持ちを聞いた。

「ようやく、ニワトリが飛びたつ日が来たな、と。今は、僕たちだけの作品ですが、公開と同時に観てくれる誰かのものになる……。そう思うと、どうしても気持ちは入ってしまいます。この作品は過激な描写が注目されがちですが、人はどう生きてゆくのか?という、普遍的なテーマが大軸に流れています。さまざまな年代の人が、内にあるそれぞれの思いをかみしめながら観てくれたらうれしいです」

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