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今号は「新たな視点」がキーワードになる快作漫画をご紹介。新しい年度にむけて何かを始めようと思っていたり、いなかったり……。何はともあれ、この漫画を読んでみてはいかがでしょうか?

あらすじ

「この川で暇をつぶすだけのそんな青春があってもええんちゃうか」。まったりゆったりしゃべるだけ。関西の男子高校生、瀬戸と内海が繰り広げる、クールでナナメでシニカルな放課後トーク。2016年に菅田将暉、池松壮亮のダブル主演で実写映画化。17年には高杉真宙と葉山奨之のダブル主演ドラマがテレビ東京で放送された。

此元和津也(このもと・かづや)漫画家。
著書に『スピナーベイト』
『テリトリー』(ともに幻冬舎)など。

ラスト4話で物語の視点がひっくり返る

 あるようでなかった、新しい物語の型だ。「男子高校生が河原でしゃべり続ける」という説明はあまりにも的を得過ぎている。シンプルに説明できるからこそ、いい意味で油断させられるのだ。「まったり読めるだろうなぁ」なんて軽い気持ちで電車内に持ち込んだが最後、必ず後悔するだろう。1ページに1回は「ふふっ」と息が漏れる。笑いのツボを刺激される――というよりは、まるで腹の底にある本能ごとくすぐられるような新しい感覚を味わうことになる。
 物語の主役は、タイトル通り瀬戸と内海。元サッカー部のクラスのお調子者タイプと、真面目で秀才そうな気難しそうな、ちぐはぐな性格の男子高校生二人の日常を垣間見るような視点で物語は展開する。川原で出会う大道芸人、友人の田中、二人に想いを寄せる女の子――登場人物は一見シンプルに感じるが、何しろ軽やかな関西弁の台詞回しが上手過ぎる。「インフルエンザウイルスみたいなやり口でマイナーチェンジ繰り返すやん」「ファーブル的な観点」あたりは積極的に声に出して真似ていきたい。各話のタイトルは必ず「ムカーとスッキリ」「神と仏」といったように並列になっていて、それぞれの単語にフューチャーして読むのもおすすめだ。
 作者のセンスに甘やかされるがまま読み進めていたのに、ラスト4話であまりにも突然、事態は急変する。最後まで読み終えたとき、頭の中には「はじめに戻って読み返す」以外の選択肢はないだろう。これまで心地の良いままに受け入れてきた意外なせりふが伏線になっていたり、何気ない場面が実は重要だったりするので、新たな視点で物語を見つめ直す必要がある。

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