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Oh 愛でたい!大人の小物

自分らしいモノを、
大人らしく
選んで、買って、愛でる。

2020年の抱負はそんな感じで。

一年がちょっと、
ハッピーになるような、
小物探しのお手伝い。

さあ、今年もたくさん買い物しよう。

木梨憲武 スペシャルインタビュー

衣装協力
コート/ソフネット×ヤーモ(ソフ TEL:03-5775-2290)、ツナギ、Tシャツ/ともにヒューマンメイド(ヒューマンメイド オフラインストア TEL:03-3712-2525)、シューズ/ソフネット×ダナ(ソフ TEL:03-5775-2290)、サングラス/白山眼鏡店(白山眼鏡店 WALLS SHIBUYA TEL:03-5468-0397)

木梨憲武の自由でファンクな生き方

とんねるずを筆頭に、野猿や矢島美容室など、
音楽活動も精力的に行ってきた木梨憲武さん。
NHK紅白歌合戦への出演も4度を数える。

しかし意外にもソロでの歌手活動は
今回、初めてなのだという。

リリースしたアルバムには
旧知のミュージシャンや
親子ほど歳の離れた若手アーティストが参加。
さらにプロモーションやライブでは
自身のラジオのリスナーたちが舞台にもあがる。

そんな人を巻き込み、予想もしない行動で
周囲を楽しませるエンターテイナー
“木梨憲武”流の人生哲学を聞いた。

また、小物使いのセンスが光る
大人のコーデも必見だ。

Photos : TATSUYA YAMANAKA(stanford)
Styling : ATSUSHI OKUBO
Hair&Make : ICHIKI KITA
Text : SHINSUKE UMENAKA(verb)
2020.1.15
衣装協力
ハット/キジマ タカユキ(キジマ タカユキ TEL:03-3770-2174)、パンツ、スニーカー/ともにニードルズ(ネペンテス TEL:03-3400-7227)、メガネ/白山眼鏡店(白山眼鏡店 WALLS SHIBUYA TEL:03-5468-0397)
Interview NORITAKE KINASHI

本番での予定外の行動が
最近は完全に読まれている

撮影の準備が整い、本日の主役の登場を待っていると、控え室から「木梨さん、入られます!」という声が響いた。現場の空気が一気に張り詰める。そこへ颯爽と現れた木梨さんの風貌に撮影スタッフたちは唖然とした。撮影のテーマはファッション小物で、帽子の着用をリクエストしていたのだが……。頭に乗っていたのは大きなアフロヘアだったのだ。

やられた…。テレビの予定調和を壊してきた、自由奔放な木梨さんが被写体だということをすっかり忘れていた。どうやってテーマとの整合性をつけようかと編集長は、青ざめている。しかし、そんな心配をよそに撮影は進み、先ほどまでの緊張感が嘘のように現場が和み、笑いに包まれていった。

「今日は4、5カット、撮影するって聞いたから。一発くらいアフロがあったほうがいいかなと思って、持ってきてもらったんだよ」と、涼しい顔の木梨さん。聞けば、ソロデビューアルバム『木梨ファンク ザ・ベスト』のプロモーションで愛用しているカツラなのだという。予定にない行動に初対面のGOODAスタッフは面食らったが、テレビの世界のスタッフたちは、こうした木梨さんの自由な行動を心得ているとか。

「どうも昔のイメージがあるみたいで、最近は何か本番でやるだろうと、先回りして準備を整えてくれてるんだよ。先日出演した歌番組でも、事前にカット割が決まっていたんだけど、何割かの余白をくれていて『ハンディカメラが目の前にくるタイミングで、もしステージにいなくても、大丈夫なようになってます』って。しかも『ステージの後ろにあるセットの柱は倒すこともできますから!』って言うんだよ。そんなの使わないよ!」と笑う。

シャツの袖とパンツのカラーを合わせ、スタイルに統一感を

スタイリング

シャツの袖のグリーンとパンツを同系にするだけでスタイルに統一感が出る。また色数を絞ることで落ち着いた雰囲気が出る効果も。帽子は逆に色を外すことで存在感が際立つのだ。

やりはじめたら全力でつくる そして、先生たちには絶対服従

常に楽しいことはないかとアンテナを立て、探している木梨さんだが、そもそもアルバムのリリースも、定期的に開催している自身のソロライブで演奏する曲がほしいという“ノリ”からスタートしている。

「毎年400〜500人のキャパのライブを開催して遊んでいたんだけど、せっかくなら新曲をやりたいと思って、曲の作れる後輩たちに、なんか曲をちょうだいよって言っていたら、みんな協力してくれちゃって。家にいるときも、テレビのチャンネルをガチャガチャ回して、なんか面白い番組がやってないか、つい探しちゃう。だから、人生でつまらないなんて、感じたことがないんだよね」

そしてやりたいことが見つかったら、制作に全力を注ぐ。その作業がまた楽しいという。絵を描く作業とは異なり、音楽活動はチームワークが欠かせない。スタッフを総動員して、こっちがいいんじゃないの?と、ミーティングしながら、曲を選んだり、歌詞をチェックしたり、レコーディングをしていく。

「AIとかフミヤとか“先生たち”に制作をお願いした曲があるんだけど、その曲のレコーディングでは彼らの指示通りに動くよ。AIも彼女がLAにいたころからの知り合いなんだけど、一緒に仕事をするのは今回がはじめて。赤ちゃんがいるから、忙しいはずなのに、『今日は大丈夫だから、仕上げるよ!』って、つきっきりでディレクションしてくれて頭があがらないよ」

久保田利伸、SALU、藤井フミヤ、松本孝弘、AKLO、そして星野源など、多くのミュージシャンたちとの制作では彼らのセンスに全てをゆだね、絶対服従がモットーだという。

スタイリング

アーティスティックな雰囲気のプリントシャツを着崩すなら、ラフな素材感の帽子と7分丈パンツを合わせる。カジュアルなテイストが加わることで硬すぎる印象を払拭。

知的なプリントシャツにはラフな帽子と7分丈パンツで軽さをプラス
衣装協力
ハット/キジマ タカユキ(キジマ タカユキ TEL:03-3770-2174)、パンツ/ソフネット(ソフ TEL:03-5775-2290)、メガネ/白山眼鏡店(白山眼鏡店 WALLS SHIBUYA TEL:03-5468-0397)

スタイリング

腕時計のブルーを軸に全身をコーデ。帽子、ジャケット、そしてパンツもブルーで統一しつつ、差し色には赤をチョイス。腕時計の配色と同じでオシャレ度がさらに上がっている。

腕時計のブルーカラーを軸に差し色を効果的に加える

幸せは待っててもこない
だから動いているんだよ

主に自身が作詞を担当した「道化師として」では、家族との日常を赤裸々に綴り、「I Love Youだもんで。」では奥さんである安田成美さんへの愛を叫んでいる。

「開けっ広げ大作戦。家での出来事をテーマにしたほうが、すぐに書けるじゃない。なんとなくメモっといて、どういうストーリーにするかは俺にしかできない作業だから。『I Love Youだもんで。』でも、最初は気取ったことを言おうと思ったんだけど、なかなかうまくハマらなくて。でも、サビに“成美さん”って入れたら、するするとできちゃって。そんなセリフは家で言えばいいじゃない!って話もあるんだけどね。これもひとつの木梨ファンク流ということで!」

一方「道化師として」では、こんなフレーズが印象的だ。「……長男 雨の日なぜか俺の靴を履く 次男ロンドン生活 学費カカリマクリ 長女は俺の事 犬臭いって言う……」。家庭での肩身が狭い父親像を嘆いているかと思いきや、ただ現実を描写しているだけだという。

「日常で起こっていることをただ書いただけ。ネガティブな気持ちはぜんぜんない。パパは臭いっていう事実を植え付ける教育方針だから。だってシャワーも浴びないでソファーで寝て、犬が使っているタオルケットをかけていたら、臭いのは当たり前じゃない」

家族のリアクションに戸惑いながらも、父親としての協力は惜しまない。その様子がコミカルに語られる。そして、後半に登場するこんな歌詞が木梨さんの人生哲学を表している。

「……幸せは待っててもこない だから動いているんだよ……」

人生を楽しくするのも、つまらなくするのも、自分次第。自ら動いて、探すことが大事なのだ。

衣装協力
ハット/キジマ タカユキ(キジマ タカユキ TEL:03-3770-2174)、シャツ/ソフネット(ソフ TEL:03-5775-2290)、メガネ/白山眼鏡店(白山眼鏡店 WALLS SHIBUYA TEL:03-5468-0397)、時計(ワンミニッツギャラリー TEL:03-3478-2874)

タレントと素人の境界線が
どんどんなくなってきている

楽しむことに貪欲な木梨さんの周りには、自然と人の輪ができていく。思いがけず、巻き込まれた人たちも、皆、喜んで手伝うようになり、一様に楽しそうなのだ。撮影現場にも知り合いだという帽子屋さんの社長が急遽、呼び出されていた。スタジオにあるアンティークの帽子収納ボックスを買わないかと、木梨さんが電話をしたという。

「学生だったときからの知り合いなんだよ。電話したら近くにいるっていうから、来てもらったんだよ。長いこと芸能人をやっているんだけど、タレントと素人との境目がどんどんなくなってきていて。芸能人に何かを頼むと、事務所の兼ね合いもあって、何かと面倒だしね」

昨年9月に開催された氣志團万博2019では、MCを務めるTBSラジオの番組「木梨の貝。」で募集した一般ダンサー100人を引き連れ、ライブパフォーマンスを行なった。「木梨ファンク ザ・ベスト」のリード曲である、「GG STAND UP!! feat.松本孝弘」のミュージック・ビデオではファッション業界のレジェンド、菊池武夫や、スタイリストの大久保篤志に加え、ラジオの番組スタッフがエキストラとして出演している。

「番組リスナーの選抜チームがあるんだけど、何度も会っているからもう知り合いみたいな不思議な関係。イベントがあったら、彼らを優先してあげてって言うんだけど、“金は取るから、それでもいいならどうぞ”って感じ。あんまりグイグイ来られると、引いちゃうから(笑)」

人生を謳歌する鍵は
仲間しかない

タレントも一般人も関係ない。仲間がいたほうが楽しい。だから、一緒に遊ぶのだ。

「人生を謳歌する鍵は、仲間しかない。リスペクトする先輩とか、こんな人みたいになりたいなっていう目標が見つかったら、すり寄って行って、教えを乞う。自分が何かプラスできるようなことがあれば最高だよね。そのうち後輩たちが集まってきて、横も上下にも人間関係が広がっていく。仕事もそうだけど、たいがいのことって、団体で動いているじゃないですか。みんなで良いものを作って、それを評価してもらえば、発注も増えていく。そのほうが楽しいよね」

芸能人にとって、身元がわからない一般人との交際はリスクがつきまとう。そのためあえて一線を引こうとする人が大半だ。でも、一般人の応援があってこそ、エンターテイナーは生きていける。その点、憧れの木梨さんとの交流は最高の思い出になる。ファンにならないわけがない。

また、テレビではコンプライアンスを重視し、生放送でさえもリスクを避け、ディレイで放映する時代だ。予定調和を嫌いライブや客いじりのプロフェッショナルである木梨さんが、テレビ以外のフィールドに活動の幅を広げているのも必然なのだろう。テレビという枠から放たれた木梨さんの人生が詰まったCDのタイトルは“ザ・ベスト”。その言葉に偽りはないだろう。

衣装協力
ハット/キジマ タカユキ(キジマ タカユキ TEL:03-3770-2174)