ハーフパンツ(短パン・ショーツ)は、取り入れればすぐさまスタイリッシュに見える万能アイテムなのかといえば、さにあらず。大人服における最大の敵である「子供っぽさ」を筆頭に、多少なりとも不安がつきまとうものだ。そこで、想定されるお悩みに対するのハーフパンツ選びと着こなしの正解を、スタイリスト・川田真梨子さんにご教授いただいた。
Photos : HIROYUKI SUZUKI
Illustration : KENSUKE ITO Text : MASASHI TAKAMURA
2019.07.16
ハーフパンツ選びを敬遠する多くの大人が感じるのは、「子供っぽいのでは?」という懸念だ。日常の仕事服と異なり、膝小僧を露わにするスタイルに思わず及び腰となってしまう。「そんな人には、スラックスタイプのリネン素材がおすすめ」とスタイリストの川田さん。
「クリースと呼ばれる折り目が入った、すっきり感のあるシルエットからは上品な雰囲気が漂います。また、季節の素材を取り入れるのも大人の嗜み。涼しげな印象は清潔感にもつながりますよ」(川田さん)
着こなし次第で、さらに大人らしくなるのがスラックスタイプのハーフパンツ。「子どもっぽく見せない基本技は、トップスで“きちんと感”を加えること。襟付きや長袖アイテムなどが該当します。
最上級の上品さを求めるなら、なんと言ってもジャケパンスタイルです。中でも季節感を重視したシアサッカージャケットは適役。インナーが襟のあるニットポロなので、品格は2倍アップ(笑)。レザースリッポンを足元に合わせ、“きちんと”と“軽やか”のバランスをキープ!」(川田さん)
脚が太いと自覚している人は、短足に見えるという理由からハーフパンツのチョイスを避けがちだ。「脚をハーフパンツで隠そうとすると、余計に脚が短く見える傾向があります。どうしても大きいサイズを選んでしまうので」と川田さん。
「このコンプレックスを解決するのは、幅広短丈の濃色ハーフパンツです。これにより、むしろ『露出する脚の面積を増やす=面積が増えた分、縦長に見える』という視覚的効果を用いて、“短足見え”を解消します」と逆転の発想を駆使したテクニックだ。「ダークカラーだとさらに引き締め効果もあっておすすめです」(川田さん)
コーデにおけるハーフパンツの面積がグッと減少することで、着こなしが難しくなるのでは……と感じる人もいるかもしれない。
「そこで、フードとカンガルーポケットのついたプルオーバーパーカーが活躍します。物足りない下半身に対して、見た目のアクセントとして効果はてきめん。こちらはメキシカンパーカーをベースにしているので、さらにデザイン性がアップ。リネン×シルクの素材感は大人らしい上質な雰囲気も醸し出してくれますね」(川田さん)
脚の細さを露出するのは、どうも気が引けるというスリム派のご意見。こんな体型の諸兄に対して川田さんがリコメンドするのは、「タック入りのテーパードタイプ」とのこと。
「細脚さんが、短丈幅広ハーフパンツを選ぶと、裾幅との間に落差ができてしまい、細さが強調されてしまいます。一方、タック入りのテーパードタイプだと、タックが入っていて腰回りがゆったりしているので、ボリューム感は保ちつつ、細い脚に向けて裾が細くなるテーパードシルエットに。細い脚まで自然につなげてくれるのです」(川田さん)
腰回りにゆとりを持たせたテーパードハーフパンツに似合うトップスとは⁉
「このタイプはクリース入りが多いので、その大人っぽさを活かします。選ぶのは、いわゆるビッグシルエットのシャツ。肩位置が実際よりも3〜5㎝程度外側にあって、身幅の広いものとなります。
細身の人には、ボリュームアップ効果もありますし、トレンド感も加味できる一石二鳥のアイテム。足元は、ハーフパンツの軽快さを活かしてローテクスニーカーあたりがフィットしますね」(川田さん)