キャンプ、フェス、トレイルランニングと、さまざまな形でアウトドア遊びを楽しむ3名のアパレル関係者たちに、必携の相棒アイテムを紹介してもらった。彼らのこだわりが詰まった逸品とは?
Photos : KATSUNORI SUZUKI
Text : RYO KIKUCHI
Edit:NAOKI MASUYAMA
2019.07.16
ご登場いただいたのは
業界内でも指折りのアウトドア好き3名。
アクメファニチャー/ジャーナル スタンダード ファニチャーでプレスを担う勝山さんは根っからのキャンパー。長野県佐久市にある標高1,200mの内山牧場キャンプ場で撮影したという、こちらの写真を見てもそれはよく分かる。
ビームスプレスの秦さんは、音楽を自然の中で聞く楽しさに魅了されもう山フェスに夢中。昨年撮影したフジロックのメインステージの一コマからもその熱は伝わってくるだろう。
ムロフィスのPRマネージャー、嶋田さんは大会にも積極的に参加するトレイルランナーで、写真は国内最高峰のレース、UTMF2019に参加した時のワンシーンだ。
「もとから休日は家でじっとしていられないタイプ」と語る勝山さんは、暇を見つけては自然が残る郊外へ。現地の食や文化、空気感を堪能しながらリフレッシュしていたそうで、彼の中でキャンプはその延長として位置付けている。
開放感に加えギアの面白さもキャンプの魅力にあげる勝山さん。「ギアの話をつまみにお酒が飲めますね(笑)」。
「日帰りだと各地の良いところを存分に味わえないので、だったら泊まっちゃえと」。以降、時には一人、時には仲間たちと都心を離れキャンプに没頭。「その場所でしか味わえない経験や景色が最高の刺激であり癒し」と話す。
②ハイランダーのテーブルや、⑪バリスティクスのチェアなど、インテリアショップのプレスならではの選び。
キャンプ泊を重ねること数十回。気づけば歴は10年を数える。ギアもさまざま購入し実際に現地で試してきた。そして導き出した答えがこちら。①ヒルバーグのテント、〈ナロ3GT〉はオールシーズン使え、②ハイランダーのテーブルは抜群の安定感。③ピコグリルの焚き火台、④グリップスワニーのグローブ、⑤モーラナイフのナイフは自宅近くの川で焚き火をする際にも活躍する。
調理にも活用できる⑥マウンテンリサーチのアナルコカップ、使うほどに味わいを増す岡山ブランド、⑦ルーの箸やスプーンもお気に入りのひとつだ。他、ほっこりする⑧プリムスのガスランタン、焚き火の飛び火もケアする⑨ホース ブランケット リサーチのブランケット、⑩イノーのハンモックと、そのどれもが勝山さんのキャンプライフには必須だ。
英国軍で使用していたローバーチェアを背景に、そのローカット版として製作したバリスティクスのロアーチェア。
なかでもお気に入りにあげるのは、⑪バリスティクスのロアーチェア。「インテリアや雑貨をさまざま見てきましたが、最もシンプルにデザイナーの意思が反映され、圧巻のデザインバリエを誇るのはチェアのプロダクトです。僕がもっとも好きなインテリアであり、山ギアでも気に入ったものがあればすぐに買ってしまいます。中でもこちらは、ミリタリー由来らしく座り心地や持ち運びやすさなど細部にまで考え抜かれたデザインにグッときました」。
高さはビーチチェアぐらいで、焚き火をする際に活躍。ウレタンパッドの投入により快適性もさらにアップ。
秦さんの日常に音楽は欠かせない。若い頃から’70s&’80sファンクにハマり、R&BやHIP HOPにも傾倒した。大学時代はダンスに青春を捧げ、音を楽しむ場はクラブが中心。「その頃は正直、音楽は外で聞くものではないと思っていました」。
今年のフジロックには、初の3DAYSフル参戦。回を重ねるほどに山フェスの虜となり、今では夏がより楽しみになったと語る。
そんな固定観念が覆されたのは、2年前のフジロックフェスティバル。仕事として初めて参加したが、その強烈な雰囲気に圧倒されたという。「もう衝撃でしたね。基本的にロックはあまり聞かないのでさほど期待はしていなかったのですが、開放感とともに味わう生音が、あんなにも気持ち良いなんて。何より周りとの一体感が最高でした」。
ただ、山フェスルーキーだった当時はそれなりに洗礼も受けた。「調子に乗ってTシャツ一枚にショーツとサコッシュだけで参加したら、途中で雨が降ってきて……。ぬかるみに足を取られまくって最悪でした(笑)」。
アイテムのほとんどがビームスとの別注のため、周りとの“かぶり”はほぼ皆無。休憩時や夜間も考慮した周到な装備。
その教訓を生かして装備をアップデイト。足元は生地をスウェードに変更した①イノヴェイトのフライロック GTX。「フジロックはおしゃれな人が多い」と、今回はビームス別注でバックプリントを入れた②スターター ブラックレーベルのTシャツで参戦予定だ。
保冷機能を追加した③ピルグリム サーフ+サプライ別注のクリーンカンティーンのボトルへ温かいコーヒーを入れておけば、気温が下がる夜でも安心。そのボトルがすっぽり収まる④ピルグリム サーフ+サプライのボトルホルダーにより、常に両手を空けることができる。⑤ピルグリム サーフ+サプライ別注のGショックなら暗いところでも時間を確認しやすいし、時に休憩も必要なため、⑥ヘリノックスのチェアと⑦ツノカワファームの枕も揃えた。
スターター ブラックレーベル×ビームスのショーツは、型からデザインし、90年代を彷彿とさせながらも機能的なウエストポーチを加えた特別作。
そして、隠し種が⑧アメリカ生まれのブランド・スターター ブラックレーベルにビームスが別注したショーツ。「思い切り山フェスを楽しむなら、動きやすさは優先事項。極力荷物は減らし、両手は常にフリーにしておきたいところです。となれば、ウエストポーチとショーツをドッキングしたこれはまさに格好のアイテム」とニンマリ。道具も気持ちも、準備は万端である。
ショーツ同様、シャリ感のあるスポーティな生地を採用。裏地は通気性抜群のメッシュ地で仕上げている。
嶋田さんのアウトドアライフは、3年ほど前のザ・ノース・フェイスとの仕事から始まった。「ブランドの方からボルダリングの誘いを受け、最初は屋内、最終的には外岩(クライマーが登るような屋外の岩壁)にも連れて行ってもらいました」。その奥深さに感銘を受けて徐々にハマっていき……と思いきや、実はそうではない。
これまでのトレランでの最長走破距離は、20時間以上かけて走った114km。「人間って100㎞以上も走れるんだなって思いました(笑)」。
外岩へ行くには車移動が必須。車を持たない嶋田さんは、行きたい時に行けないジレンマに悩まされる。そこで、2年ほど前に体型の変化も気になりだしてきたことからランへと舵を切る。「最初は街ランでしたが、ザ・ノース・フェイスの方から、ランニングをはじめたなら“トレラン”もやってみたら? と。それで誘われるがままにブランドが協賛する大会にエントリーしました」。 山は登るものとばかり思っていた嶋田さんだが、その心地良さは想像以上だった。「下る時の疾走感がもうたまりません。アドレナリンが止まりませんでした(笑)」。以降、“トレラン”に心酔。関東近郊の大会であれば迷わずエントリーし、大会がない時でもひとりで山を駆ける。
機能はもちろんデザイン性にも配慮。「ギアを纏っている姿は今のアウトドアブームも相まってファッショナブルに映ります」。
当然、走るほどにギアへの要求も高まり、バッグは「走りながら背負ってもズレないし物も取り出しやすい」とレースでも活躍する①ザ・ノース・フェイスのTR10を。変わりやすい山の天候に備え、②同ブランドの防水シェルや③メッシュキャップを持ち歩き、「陽除けはもちろん木の枝からも目を守ってくれる」から④アイヴォルのサングラスも常備品である。道なき道を走り続けるため、マップや⑤コンパスも必携。緊急時には⑥カタダインのボトルを使って川の水で水分補給を行い、夜間走行では⑦シルバのヘッドライトが生命線となる。
ザ・ノース・フェイスのフライト トリニティ。ミッドソールの特殊な高反発素材が着地時の衝撃を推進力に変える。
そして、特に気を配るのがシューズだ。2年もの短期間で数々のシューズを試してきた彼が行き着いたのが、⑧ザ・ノース・フェイスのフライト トリニティ。「当初はクッション性を重視してきましたが、今はある程度走力もついてきたので軽さをポイントにしています。こちらは、スムーズな足運びをフォローしてくれるので今の自分に合っているなと。何より見た目がカッコイイですよね」。
メッシュ地アッパーで通気性十分。異なる2種類のラバーを配したアウトソールが走りを巧妙にコントロールする。