ダッチオーブンで調理中

【料理道具コンサルタントが監修・ダッチオーブン編】機能美に惚れ込む“男の料理道具”

vol.3 ダッチオーブン

機能美と意匠を併せもち、モノ好きが唸る奥深い世界。
それが料理道具。そんな料理道具を、日本で唯一その肩書をもつ
料理道具コンサルタント・荒井康成氏がレコメンド。
今回は「ダッチオーブン」ついて語ってもらいました。 Styling&movie&photo:YASUNARI ARAI/Edit&Text:SHINSUKE UMENAKA(verb)

2019.07.16

料理道具コンサルタント荒井康成さん
監修

料理道具コンサルタント荒井康成氏

日本初の「料理道具コンサルタント」。各食情報雑誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」の講師など、料理道具コンサルタントとして多岐に渡り活躍中。

脱バーベキュー。
ダッチオーブンで広がるキャンプ料理

今、キャンプやバーベキューの人気が高まっていると聞きます。

今年の夏も休日を利用して、山や川へ出かけるという人も多いのではないでしょうか?

そんな時に、ぜひ持って行きたい料理道具が、ダッチオーブンです。アメリカでは西部開拓時代から屋外での調理に広く使われてきたという蓋の付いた調理鍋で、鍋に厚みがあるため温度変化が少なく、食材にしっかりと火が通るという特長をもっています。

ダッチオーブンで調理中

また、ずっしりと重量のある蓋が重しとなり、内部から吹き上がろうとする水蒸気が閉じ込められるため、圧力鍋と同じ要領で調理することができます。そのため短時間の調理で肉や野菜が芯まで柔らかくなるわけです。

ダッチオーブンの蓋の使い方は多彩で、蓋の上に炭火を置いて、鍋の上下から熱を加えたり、肉を押さえつけて焼き目をつける、あるいはフライパンとして炒め物の調理に活用することもできます。

煮る、焼く、蒸す、炒める、さらには燻製調理まで、一台でさまざまな料理が楽しめる優れもの。それがダッチオーブンです。

荒井さんセレクト「ダッチオーブン」

シーズニング不要でIH調理が可能なステンレス製

ダッチオーブンは鋳鉄製のものが一般的ですが、最近は手入れしやすいステンレス製のものも販売されています。

鋳鉄製のダッチオーブンは、鉄フライパンと同様にシーズニングという作業が必須になります。製造時に塗られる、さび止め用のワックスを一度落として、表面に油を染み込ませてコーティングをする作業です。使用後も洗剤を使わないようにするなど、愛用するためのメンテナンスは欠かせません。

一方でステンレス製のダッチオーブンはシーズニングが不要で、洗剤を使った後片付け、そしてIHでの調理も可能です。

ココットで海鮮などのアヒージョを調理中
荒井さんセレクト「ピコ ココット ラウンド」

人数や移動手段から最適なサイズを選ぶ

ダッチオーブンを選ぶ際には、屋外でのみ使うのか? それとも自宅でも調理器具として使いたいのか、で鋳鉄製かステンレス製かを判断するのが、ひとつの方法です。

なおキャンプオーブンとも呼ばれる種類のダッチオーブンは、焚き火にくべて調理しやすいように鍋底に脚が付いているので、屋外でのみ使用が可能になります。

蓋の上に炭火を置く前段階のダッチオーブン

また、ダッチオーブンはソロキャンプで重宝する小ぶりなサイズのものから、一度に7~8人前の料理がつくれる直径30センチサイズのものもあります。主に何人でのキャンプに持っていく予定なのか、参加人数を基準に大きさを選ぶのも良いでしょう。ちなみに30センチクラスのダッチオーブンは重量が10キロ近くになり、車での移動でなければ、持ち運びが大変です(笑)。

荒井さんセレクト「キャンプオーヴン」

あわせて「底網」と「耐熱グローブ」を揃えたい

ダッチオーブンと合わせて揃えたいものの、ひとつが底網です。

スモークチップを敷き、底網を配置すれば、ダッチオーブンで燻製料理が簡単に楽しめます。

また、ダッチオーブンは食材を入れ、蓋をしたら、しばらく火にかけておくのが基本の使い方です。時には蓋の上に炭火を置いて、加熱するため、鍋や蓋が非常に高温になります。

蓋の上に炭火を置いたダッチオーブン

そのため蓋を開けたり、火から下ろす時には、耐熱グローブが欠かせません。しっかりと熱を防げる丈夫なタイプで、蓋を落とさないよう、掴みやすい形状のものがベストです。

調理中のダッチオーブンとテーブルに置かれた食材
荒井さんセレクト「底網」&「耐熱グローブ」

キャンプで料理の腕前を披露するならダッチオーブン

キャンプ料理の定番といえば、バーベキューですが、そればかりでは飽きてしまいます。かといって、あれこれ調理器具を揃えると、道具も増え、予算もかかってしまいます。

その点、ダッチオーブンは一台あれば、さまざまな料理法を楽しむことができますので、ぜひ今年はお気に入りのダッチオーブンを探してみてはいかがでしょうか?

ダッチオーブンで海鮮を無水調理
荒井さんセレクト「サーモメーター ダッチオーブン」
Profile

荒井 康成 YASUNARI ARAI
料理道具コンサルタント/Kitchenware Stylist

洋菓子店店長、和陶器店主を経て、フランス陶器エミール・アンリ社の日本法人設立に携わる。以後、日本初の「料理道具コンサルタント」として独立し、「料理通信」「ELLE gourmet」など、各食情報誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、Panasonic「ふだんプレミアム」や魔法びんのパイオニア「サーモス」のInstagramディレクション、「キユーピーサラダクラブ」や「カルビーフルグラ」など食品会社の販促物スタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」では講師として、多岐に渡り活動中。著書に「ずっと使いたい世界の料理道具」(産業編集センター刊行)。http://www.araitools.com

料理道具コンサルタント荒井康成さん
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