「悔しい」が消えない限りまだ強くなれる。現役30年目の向上心——総合格闘家・宇野薫
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    「悔しい」が消えない限りまだ強くなれる。現役30年目の向上心——総合格闘家・宇野薫

    2026.03.16

    日本総合格闘技界の黎明期から第一線で戦い続け、今年でキャリア30年目を迎えた総合格闘家、「宇野薫」。修斗、UFC、HERO’S、DREAMなど舞台を移しながら、今なお現役としてリングに立ち続けている。ファッションフリークとしても知られ、アスレチックウェアブランド「ONEHUNDRED ATHLETIC(ワンハンドレッド アスレチック)」も手掛けるなど多才。これまで、年齢を理由に立ち止まる選択肢もあったはずだが、宇野さんを動かし続けているのは、「もっと上手くなりたい」「もっと強くなりたい」という、驚くほどシンプルな感情だ。

    春は、「はじまり」の季節。新しい環境に高揚感を覚える一方で、不安を抱えながら迎える新生活も少なくない。今注目を集める「あの人」を紐解く、新生活の記憶と彼らが好きなモノの話から、自分自身の「はじまり方」を見つけてみてはいかがだろう。

    Photo:Tatsuya Irie/Text:Kazuyuki Nomura
    取材協力:ゴールドジム原宿東京

    もっと上手くなりたい、もっと強くなりたい

    総合格闘家/宇野薫さん

    ——宇野さんは総合格闘家として今年で30年目迎えています。そもそもなぜ総合格闘技を始めたのですか?

    僕は小さい頃から体を動かすことが大好きで、もともとプロレスラーになりたかったんですよ。 4つ上の兄がタイガーマスクの大ファンで、影響を受けていたこともあり。それで自分なりに基礎を身につけようと高校生の頃にレスリングをやって、高校卒業時にプロテストを受けたんですが、ダメでした。結局、体が大きくならなくて。当時のプロレスって180cm以上、100kg以上っていうのが当たり前で。

    ——それで総合格闘技の道へ?

    そうですね。それで専門学校に進学したのですが、プロの選手になる夢はずっと持っていました。当時、佐藤ルミナ選手に憧れていて「修斗」に出合い、修斗には階級があるので小柄な自分でもできる。それで、総合格闘技の道に進んだという感じですね。

    ——でも、当時はまだ総合格闘技は全くメジャーではなかったですよね。

    今のように誰でも知っているようなものではなく、当時はサブカルチャーとして取り上げられることが多かったですね。でも、今とはまた違った熱気があって楽しかったですよ。

    「悔しい」という気持ちがある限り成長できる

    ——それから、修斗、UFC、HERO’S、DREAMなどリングを移しながら、今でも選手を続けられています。常に危険が伴うなかで、辞めようと思ったことはないのでしょうか!?

    もちろん、何度もありますよ。実は47歳の時に肩の筋を大断裂して、2年くらい試合ができない時期があったんです。年齢を考えたら辞めても全然おかしくなかったと思うのですが、一生懸命リハビリして帰ってきました。やっぱり格闘技が好きだから、もっと上手くなりたい、もっと強くなりたい、上にいきたいという気持ちが自分のなかで全く消えることはないので、ここまでやり続けているのだと思います。

    ——宇野さんほどのキャリアがありながら、まだ向上心があるのが凄いなと。

    今年51歳なので30年選手をやり続けていますが、まだ自分のなかで満足しきっていないし、「悔しい」という気持ちがなくなることはないんですよ。格闘技も技がどんどん進化していくし、それに追いついていかなければいけない。まだまだ上手くなれると思うし、強くなれると思うし、上にいけると思っています。

    ——落ち込んだ時はどうしていますか?

    僕自身、これまでを思い返してみても、今でもそうですけど、相談できる家族や仲間がまわりにいてくれたことがとても大きかったなと思います。良い言葉だけじゃなくて、時には厳しい言葉もかけてくれる妻や兄、友人たちがまわりにいてくれました。試合に負けて落ち込んでも、すぐに前を向けたというのは大きかったなと思います。

    宇野薫選手の“モノ”へのこだわり

    ——昔から格闘技界きってのファッションフリークとしても知られていますが、今好きなモノ、気になるモノを教えてください。

    こちらは僕がディレクターを務めている「ONE HUNDRED ATHLETIC(ワンハンドレッド アスレチック)」でつくったリバーシブルバッグです。かなりの大容量で、キックミットやボクシンググローブほか、道着を2着入れても余裕があるので日常のトレーニングはもちろん、遠征にもおすすめです。リバーシブルになっていて、ボストンバッグ、バックパックの2wayで使えるのもポイント。かなり僕のこだわりが詰まっています。

    こちらは「ONE HUNDRED ATHLETIC(ワンハンドレッド アスレチック)」でつくったオリジナルの柔術着。自分が普段着るなかで、切れやすい部分や消耗しやすい箇所などに気をつけながら、フィードバックしてつくったものです。上衣には軽量な刺し子生地、下衣にはリップストップ生地を使っています。トレーニングウェアブランドがつくった道着というのは、なかなかないと思います。IBJJFのユニフォーム規定に準拠しているので、これを着てコンペティションにも参加できます。僕もこれを着て出ていますよ。

    こちらは友人からプレゼントしてもらったBAKUNE。今話題のリカバリーウェアですね。やはり年齢を重ねて回復力が落ちてくるなかで、睡眠はとても大事なので。これ着ると、普段よりよく寝れるような気がします。

    トレーニングの時や、ランニングする際によく履いているのがHOKA ONEONEのシューズです。膝に古傷があるのでクッション性はとても大事。HOKAのシューズは最新のテクノロジーが反映されていてとても履きやすい。普段、体重調整に有酸素運動を取り入れているのですが、長い距離を走っても快適で、疲れにくい気がします。最近は愛犬のKOAを連れてジョギングするのが日課です。

    何事も全力で挑戦したい

    ——宇野さんの今後の目標を教えてください。

    今年は大きな目標が3つあります。1つめが総合格闘技。これまで通り練習を続けて、試合にまた挑戦すること。2つめが柔術ですね。柔術は最近黒帯をとったので、今年からはより高いレベルで、コンペティションでも強い選手とあたることになる。これまで以上に頑張って挑戦していこうと思います。3つめがプロレスです。

    ——プロレスですか!?

    そうですね。実は以前にもプロレスのリングには何度かあがっているのですが、今年の4月にも青木真也選手主催のプロレスイベントに誘ってもらったので、久しぶりに挑戦します。面白いもので、元々プロレスラーになりたくてだめだったのが、この年になってプロレスに誘ってもらっている。やるからには全力でやるのが僕の信条。総合格闘技、柔術、プロレスの他にも、ディレクションさせてもらっているワンハンドレッド アスレチック、僕がヘッドトレーナーを務めるUNO DOJO、解説の仕事など全て全力で取り組んで、もっと成長していきたいと思います。

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