ファッション
「68&BROTHERS」のブレない25年
変わらぬアイテムを“今”にアップデート
2022.06.29
1997年にニューヨークでスタートした「68&BROTHERS」(シックスティエイトアンドブラザーズ)は、2003年に日本に上陸してから約20年が経過した。洋服を通してニューヨークカルチャーを伝え続けてきたブランドの、日本における歴史とこれからについて、「68&BROTHERS TOKYO」店長の三浦圭介さんに話を聞いた。
取材/TAKANORI ITO
「つくる側」「着る側」の意識に合わせてモデルチェンジ
――まずは、ブランドの歴史についてお伺いします。
「ブランドは1997年、ニューヨークのローワーイーストサイドからスタートして、翌年にアメリカのマジックという展示会でコレクションを発表しました。それからすぐに、ニューヨークの『BARNEYS NEW YORK』や『UNION LA』、『Fred Segal』などで取り扱いが決まり、アメリカ国内で商品展開がスタート。2001年にフラッグショップとなる『knot’s』が開店しました。日本では、1998年くらいから各セレクトショップで取り扱いを開始。2003年に『68&BROTHERS TOKYO』が開店し、現在に至ります」
――「68&BROTHERS」といえばグラフィックアイテムが人気です。世界的に有名なグラフィックアーティストとも数多くコラボレーションされています。
「ブランドとしてグラフィックアイテムに重きを置いている部分があります。この25年間で、『Futura 2000』『NECK FACE』『STASH』『Margaret Kilgallen』など、たくさんのアーティストから提供されたグラフィックアイテムをリリースしています」
――ブランド初期の頃から販売を続けているアイテムはありますか?
「初期からつくり続けているTシャツとして、1stロゴの物とアメリカの某ストアブランドのトレードマークからインスパイアされた絵柄の物があります。また、ミリタリー、アイビー、トラッド、アスレチックウェア、ビンテージといったアイテムはリリースを続けています」
「ボタンダウンシャツやカーゴパンツは、マイナーチェンジやサイズ感などの仕様変更をしています」
――つくり続ける中で、逆に変わったことはありますか?
「つくる側、着る側の求めている物は時代によって変わります。アイテムは大きく変わっていませんが、求められている物に合わせて少しずつ変化させています。例えば、最近人気の80〜90年代テイストのスポーツ系アイテム。『68&BROTHERS』でも以前から手がけていますが、現代的な解釈を取り入れながらつくっています」
ニューヨーク・ブルックリンの「Park Deli」とのコラボが実現
――「68&BROTHERS」25周年記念として、今回ニューヨーク・ブルックリンにあるショップ「Park Deli」(※スケートショップとフラワーショップがひとつになっている人気店)とのコラボレーションアイテムをリリースしましたが、どのような経緯で実現したのでしょうか?
「Park Deliのオーナーであるマイケル氏が以前から『68&BROTHERS』をチェックされていて、約3年前に来日された時に、“Brooklyn 68”とデザインされたベースボールシャツを購入されました。彼は親子3代でブルックリンに住んでいるブルックリンっ子らしく、このシャツをかなり気に入ってくださったようです。ブランドの25周年を控えたある日、マイケル氏から『あの時のベースボールシャツを一緒につくりたい』と連絡をいただき、コラボレーションする流れになりました」
――ベースボールシャツのほかにもリリースされていますね。
「キャップとショートパンツをリリースしています。赤いショートパンツをベースボールシャツと合わせると、スパイク・リーが監督・主演を務めた映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年)にて、主人公ムーキーのファッションになるというアプローチです」
――それはとてもおもしろいアプローチですね。
「ブルックリンを舞台にしたマイケル氏が好きな映画ということもあり、スムーズに話が進んでいきましたね」
――今後のブランドとしての展開を教えてください。
「基本的なスタンスは今後も変わりません。つくり続けてきたビンテージ、オールドアメリカンなスタイルを、“今”にアップデートしたアイテムをリリースしていきたいと考えています」
常に時代の価値観に合わせたものづくりを行う68&BROTHERS。今後の活躍が楽しみだ。
PROFILE
「68&BROTHERS TOKYO」
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前6-17-15 落合原宿ビルB1F
TEL : 03-6427-1886
http://www.68andbros.jp
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話を聞いた人
伊藤孝法
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1973年北海道生まれ。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーで、さまざまなブランドのPRなども手掛ける。2014年、WWD日本のファッショニスタ100人にも選ばれ、自身のYOUTUBEチャンネル「ファッションとカルチャーとme」も更新中。