パーカー19,440円/アヌード
(フレッド シーガル カスタマーTEL:03-5573-4747)
撮影当日は、朝から冷たい雨が降る最悪のコンディション。しかし、俳優・渡部豪太の登場を待っていたかのように、太陽が顔を出し、分厚い雨雲は跡形もなく消えていた。「晴れ男なんですよ」と開口一番、語る渡部さん。ファッションへのこだわりや、休日の過ごし方を尋ねても、飾らない受け答えがとても印象的だ。
「昔はスケートボードのビデオを見て、この人のスタイルを真似したいなって影響を受けることもあったんですが、最近はそんなこともなくなりました。欲しいなって思う洋服は、とくに雑誌やネットをチェックしていなくても、いつの間にか出会っちゃうんですよね。街ですれ違った人のファッションや持ち物を見て『あ、あれ欲しいかも』って思ったり、自然と気になる情報が入って来るのかもしれません」
オフがあればスケボーをしたり、温泉に行くのだという。綿密に計画を立てるより、思い立ったら出かけていく。そんな風に軽やかに生きる印象を漂わせる渡部さんだが、言葉に熱がこもった話題がある。「手ぬぐい」だ。
「手ぬぐいは綿100%だから肌触りがとてもいいんです。布の端が切りっぱなしになっているから、タオルよりも乾きやすいという特徴があります。用途も拭くのはもちろん、物を包んだり、温かい飲み物を包めば保温もできます。ふと銭湯に立ち寄りたくなったら、それで体も洗えます。だからタオルやハンカチでは代用できないんですよ。家を出てから手ぬぐいを忘れたことに気づいたときは、とても悲しい気持ちになりますから(笑)」
そんな渡部さんに今後チャレンジしたいことがあるかと尋ねると、「背中に息を通せるようになりたいんですよ」という答えが返ってきた。どういう意味なのか、考え込むこちらの表情を見て、なおも続ける。
「背中が雄弁な人って表現者のなかにはいるんですよね。芝居の現場ではどんどん若い役者が出てきますが、年齢を重ねた僕には演技の説得力や存在感が求められていると感じる機会が増えてきました。でも、“説得力”って言葉で表現するものではないと思うんです。佇まいや姿勢が大事ですが、意気込んで力が入れば入るほど、背中が丸くなり、存在が小さくなってしまいます。だから背中に息を通すことで、力を抜き、ゆったりとした雰囲気や余裕を出したい。日頃から、そういう体作りを意識しています」
背中に息が通れば、洋服もきちんと着こなせ、和装も似合うようになるという。
「どうすれば、背中に息が通るようになるかですか? 結局は呼吸に行き着くと思います。ゆったりと呼吸をしながら演じるだけでなく、いろいろな物事を通過させていくことが近道なのかもしれません。どうしても目で追ってしまうような存在感のある役者になりたいんです。存在自体が表現になるのが理想です」
説明を終えると、渡部さんは優しく笑った。どうすればもっといい役者になれるのか? 自分を高めるにはどうすればいいのだろう?と、常に思いを巡らせる。演じることがいまは心底、楽しいのだろう。2019年も渡部さんの活躍を目にする機会がたくさんありそうだ。
Information
日生劇場ファミリーフェスティヴァル2019
音楽劇『あらしのよるに』主演
運命に逆らい友情を選んだあるオオカミとヤギの物語。
2019年8月、名作絵本が音楽劇になって日生劇場に登場!
8月3日(土)~5日(月)公演予定。