GOODA
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冬のコーディネートはアウターが勝負。シンプルなインナーやパンツの上に艶やかで個性的な一着を羽織って寒い街を颯爽と闊歩しよう。

Photos:SATOSHI OSAKI Styling:KAZUMI ONO Hair&Make:KOUICHI TAKAHASHI

カジュアルな印象のダウンJKも

シャイニーな素材感で艶っぽく

定番チェスターコートは

太畝コーデュロイで、ひと捻り

ベルベットの光沢感が

MA-1に大人の色香をプラス

上品なニットカーディガンは

デニムシャツで“ハズシ”を演出

Interview

「10代の頃はヒップホップが好きだったので、Dickiesのパンツにハイソックスを履いて、足元はVANS。スケボーもやっていましたから、バンダナを腰から垂らしたりと、まさに少年のような格好をしていました」

 そう自身のファッション遍歴について語りはじめた市原隼人さん。ストリートカルチャー好きはファンの間では有名だが、現在は、歳を重ね、シンプルなデザインの洋服に心惹かれるという。少しでも空き時間があれば、ショップをのぞくなど、洋服を見るのがとにかく楽しいと語る。

「ファッションって、その人の生き方や人生が垣間見えるものだと思うんです。どんなブランドを選ぶのか。同じ服を選んでも、ひとそれぞれコーディネートや体へのなじませ方が違います。着こなし方によっては、『この人は家ではダラシないんだろうな』って生活態度まで想像できる気がします。ファッションブランドにも歴史や文化がありますから、デパートやショップに立ち寄って、行き交う人のファッションや、扱っている商品を眺めながら、あれこれ考えを巡らすのが、生活の一部になっています」

 また、過去には洋服のカスタマイズにハマり、靴を自分でペイントしたり、購入したMA-1を縫製工場にまで持参して、刺繍やワッペン付けを直接依頼することもあったとか。

「自分しか持っていないものが欲しかったんです。これはあいつしか着てないよねって思われるのがうれしくて」
 市原隼人さんらしいエピソードだ。

 映画『リリイ・シュシュのすべて』で彗星の如くデビューしてから、着実にキャリアを重ねてきた市原隼人さんだが、自身では役者として、どんな未来図を描いているのだろうか?

「役者としてはもちろんですが、一人の人間として、生涯未完成でいたいですね。『あの人ってこうだよね』って、他人から言われることもありますが、常にいろんな考え方を吸収して、物事をさまざまな角度から捉えられる人でありたいと思います。嫌なことがあっても、それが何かをはじめる着火剤になれば、あとから振り返ったときには良い日に変わるじゃないですか。だから、どんなことでも見方を変えれば、面白くなるはずです」

 人生に正解もゴールもない。だから現状に満足せず、常に向上しようと上を向く。市原さんの一貫したスタンスだ。

「カレーを日本人はスプーンで食べますけど、手で食べる国もあります。僕も手で食べたら、カレーの味が変わるかもしれない。それで一週間くらい試したことがあります。一週間、水だけで過ごしたこともあります。他人の気持ちなんて100%はわからないと思っているんですけど、どんな風に感じていたのか、なんとかしてその気持ちに寄り添えないかなと試したくなるんです。そうやって人生を楽しみたいし、いろんな気持ちになってみたいんです」

 そのチャレンジは役者としての糧にもなる。

「まっとうな道を歩いてきた人と話せる言葉を持ちたいし、同時にそうではない人生を送ってきた人にも届く言葉を持っていたい。そのためには、まず自分の目で確かめて、何事も経験してみるのが、一番だと思うんです。辞書に載っている単語ではなく、自分の言葉で話せる人になりたいですね。この気持ちは生涯忘れたくないと思っています」

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