機能美に惚れ込む 男たちの料理道具のイメージ動画「包丁編」

【料理道具コンサルタントが監修・包丁編】機能美に惚れ込む“男の料理道具”

vol.2包 丁

機能美と意匠を併せもち、モノ好きが唸る奥深い世界。
それが料理道具。そんな料理道具を、日本で唯一その肩書をもつ
料理道具コンサルタント・荒井康成氏がレコメンド。
今回は「包丁」について語ってもらいました。 Styling&movie&photo:Yasunari Arai/edit&text:Naomi Ishigami(verb)

料理道具コンサルタントの荒井康成氏
監修

料理道具コンサルタント荒井康成氏

日本初の「料理道具コンサルタント」。各食情報雑誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」の講師など、料理道具コンサルタントとして多岐に渡り活躍中。

最初の1本に選ぶべきは「三徳包丁」

家族や自分のために、料理を一からやってみたい。そんな大人の男性は、とにも角にも、マイ包丁を持つことから始めてください。とはいえ、包丁は多種多様なので、「どれを買えばいいかわからない」という声もよく聞きます。三徳包丁、牛刀、出刃包丁、ペティナイフ、中華包丁などなど――。ですが、最初の1本は迷わず、「三徳包丁」を選びましょう。

海外では“オリエンタルナイフ”と呼ばれている、三徳包丁。まな板に対して平行な刃の形状は、上から下に下ろして切る、日本独特の調理方法から生まれたといわれています。“三徳”の名の由来は、肉・魚・野菜の3素材、どれにも使えるところから。引いても押しても切れる両刃の包丁で、幅広い料理に対応できる万能タイプなのです。

料理道具コンサルタントがセレクトした三徳包丁・オリエンタルナイフ

“軽め”か“重め”か、
三徳包丁は「重量」でチョイス

三徳包丁とひと口にいっても、形状、素材、重量、価格はさまざま。そこで、セレクト法をひとつ、ご提案します。

“軽め”か“重め”か、包丁の重量で選ぶ方法です。100g前後の包丁を軽めとし、200g前後を重めの包丁と考えてください。

軽めの包丁が適するのは、ピーマンやパプリカなど柔らかい素材を切るとき。例えば、ピーマンの細切りといった引き切りをするときや、キャベツを千切りするときに、その持ち味が発揮されます。

対して重めの包丁は、じゃがいもやにんじん、かぼちゃなどの根菜を切るのに適しています。硬い食材もスムーズにカットでき、切断面もきれい。切断面がシャープだと、食材への火の通り方、調味料の染み込みが良くなるので、料理の味が格段に上がります。

ちなみに、キャベツの千切りは軽めがオススメですが、キャベツ1個を1/2などにカットするときは、重めの包丁がいいですね。料理初心者ほど、食材の良さを最大限にいかせる包丁を選んでほしいと思いますが、包丁を持った時のフィーリングも大切にしてください。

荒井さんセレクト「三徳包丁」

次にそろえるなら、
「ペティナイフ」と「ブレッドナイフ」

三徳包丁が1本あれば基本的にはどんな料理にも対応できますが、次にそろえる包丁として、ペティナイフとブレッドナイフをオススメします。

果物や野菜の皮をむくときや、トマトなどを細かくカットするとき、また、キッチンのカットスペースが狭いときなどは、小回りがきくペティナイフが1本あると重宝します。

そして、ここ5年ほどで需要が高まっている、ブレッドナイフ。パンの“一斤買い”を好むパン党が増え、人気に火がつきました。

好みのパンが食パンのような柔らかいパンか、ハードパンかで選ぶナイフをセレクトしてください。その際のポイントは、切れ味が経年劣化しにくいこと。ブレッドナイフは形状が特殊なため、研ぐことができません。最初の1本から、いい製品を購入するのが賢明だと思います。

料理道具コンサルタントがセレクトしたペティナイフ・アウトドアナイフ
荒井さんセレクト「ペティナイフ」
料理道具コンサルタントがセレクトしたブレッドナイフ
荒井さんセレクト「ブレッドナイフ」

シャープナーやまな板にもこだわろう

3種の包丁がそろったら、周辺のツールもそろえましょう。

まずは、シャープナー。誰でも簡単に研げる、貝印の「関孫六 ダイヤモンド & セラミックシャープナー」などを持つと便利です。研ぎ時の目安は、包丁でコピー用紙がスッと切れなくなったときと考えてください。

次はまな板ですが、サクラ、イチョウ、ヒノキと木の種類により、食材の向き不向きがあります。

サクラは、油の染み込みがよく、肉を切るときに最適。イチョウは、木自体が柔らかいため包丁の刃あたりが優しく、野菜を切るときに向いています。ヒノキは、湿気や匂いを吸う性質があるので、魚を調理するときにいいですね。

切る素材でまな板を使い分けるのが理想的ですが、最初の1枚として選ぶなら、適度な硬さが使いやすく、頑丈で長く使えるサクラ素材のまな板をオススメします。

荒井さんセレクト「シャープナー」&「まな板」

包丁選びは、ライフスタイルの
振り返りから始めよう

包丁は、奥が深い調理道具です。包丁選びに迷ったら、普段、どんな食材を調理することが多いのか、書き出してみるといいかもしれません。野菜か肉か魚か――。食生活のパターンが把握できると、軽めの三徳包丁か重めの三徳包丁か、はたまた、両方そろえるべきか、イメージしやすくなるでしょう。ぜひ、一生付き合える包丁を選んで、料理を楽しんでほしいですね。

Profile

荒井 康成 YASUNARI ARAI
料理道具コンサルタント/Kitchenware Stylist

洋菓子店店長、和陶器店主を経て、フランス陶器エミール・アンリ社の日本法人設立に携わる。以後、日本初の「料理道具コンサルタント」として独立し、「料理通信」「ELLE gourmet」など、各食情報誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、Panasonic「ふだんプレミアム」や魔法びんのパイオニア「サーモス」のInstagramディレクション、「キユーピーサラダクラブ」や「カルビーフルグラ」など食品会社の販促物スタイリング撮影、食の学校「レコール・バンタン」では講師として、多岐に渡り活動中。著書に「ずっと使いたい世界の料理道具」(産業編集センター刊行)。http://www.araitools.com

料理道具コンサルタントの荒井康成氏
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