「街で着るアウトドアスタイルは素材感が肝心」と語る三浦さん。ダウンパンツを筆頭に、ボアのキャップやフリースジャケット、ラバー×レザーのブーツなど「らしい」異素材ミックスを披露してくれた。
なかでも気に入っているのがナンガのダウンパンツだ。「シルエットがきれいで、すごく暖かいんです。これを履いて電車に乗ると暑くて(笑)」。冬のダークトーンの装いに立体感を与え、しかも機能性抜群。「マチ」で穿いても「ガチ」で穿いても頼れる1本は、趣味の海釣りにおいても大活躍中とか。
モノトーンコーデ、しかもシャツに合わせてもシュッと決まる中綿ジャケット。長谷川さんは一見、アウトドアを感じさせないほど洗練された別注アイテムを軸に着こなした。
「極端に言えば、ビジネスシーンにも対応するアウトドアな服」。そう語るアウターは、ボディの色をグレーにカラー別注し、モノトーン調に仕上げたもの。アウトドアアイテムのタウンユースをいち早く提案し続けている、ビームスらしいアプローチと言えるだろう。パンツも同じくグラミチに別注をかけたもの。ウェビングベルトのカラーをボディと同色にし、ベルトループを設けることで街寄りにアジャストしている。
「これから打ち合わせなんです」という宮﨑さんは、シックな色のダウンジャケットで品行方正なルックを実現する。光沢感を抑えたビッグシルエットのアウターなら、なるほどジャケットにも合いそうだ。イージーパンツやニットなどリラックス感のあるアイテムを使いながら、少ない色数と細身のシルエットで大人っぽくまとめているのがポイント。
「楽ちんな格好でも、見た目はちゃんとして見える。だからこれで仕事に行った帰りに、そのまま子供と公園で遊べます」。ビジネスマンとして、良きパパとして、宮﨑さんの装いには勉強になる点が多いはず。
基本となるのは、どこか1990年代を感じさせるようなストリートスタイル。ルーズなサイズバランスやナチュラルな重ね着、人目をひく色使いでテイストを際立たせている。
そこにピリッとアクセントを加えるのが、ホカ オネオネのシューズだ。「トレイルランニングシューズ由来のクッショニングが快適で、履きやすさはもちろん、見た目にダッド感があるのもいいですね」黒いシューズに合わせて、ハットとアウターのカラーリングも統一。全体の印象を引き締めながら、アクの強い真っ赤なパンツをうまく中和するテクニック、さすがだ。
オン・オフ問わず頻繁にキャンプに行く久世さんは、「街でもキャンプ場でも、本気のアウトドアスタイルってどうにも苦手。いかに背伸びせず普段の延長で楽しめるかが大切です」と話す。
今回もデニム&ロングコートをメインに据えつつ、フィッシングベストを一点投入。本来シェルの上から着ることが多いベストを、あえてキレイなコートに重ねた。「もともとポケットの多い服が好きで。このベストも釣具を入れる場所がたくさん付いています。ある程度の撥水性もあって、ラフに使えるのもいいですね」。楽でお洒落。これぞアウトドアアイテムの真骨頂だ。
休日はトレイルランニングに汗を流す嶋田さんが手にするアウトドアウェアは、街との兼用を視野に入れたもの。優れた保温性と通気性を備えたアルクフェニックスの機能性パンツはそのいい例だ。
黒を纏った姿は街着として遜色ない。しかもワイドシルエットを選び、スウェットパーカやティンバーランドのブーツで味付け。自らのファッション原体験である’90sストリートの香りを漂わせるあたり、同世代の大人が喝采してしまうスタイルだ。
山で遊ぶことはしない寺井さんだが、アウトドアウェアを「ファッション」として取り入れていた地元の先輩の影響からそこに苦手意識はない。むしろ、その機能性やデザインにすっかり虜となってしまったぐらいだ。中でも好んでチョイスするのが、防寒性や撥水性に優れ、街との親和性も高いダークトーンの長丈アウター。
今回着こなすのは、フォックスファイヤーのオーロラジャケット。「オーロラ鑑賞に耐えるジャケット」をコンセプトに生まれたダウンジャケットは、デニムシャツやジーンズとも相性が良く、3WAYなので中のダウンを外せば春先まで着られる。細身のシルエットで「体をシャープに見せてくれます(笑)」というおまけつきだ。
無類の釣り好きだが、街の装いにアウトドアウェアを投入する際は、「さり気なく」が菊池さんのモットー。「アウトドアメーカーが作るスニーカー、特にトレラン系は、優れた機能性に加え、見た目もスマートなものが多い」と、足元にさらりと履いたのがアークテリクスの「アラキス」だ。
ボア素材のロングコートにスポーティなリブパンと、素朴感、動きやすさという点において、靴と惹かれ合うアイテムを配置。それらを落ち着いた色味でまとめている。アウトドアと街の双方の着こなしを知るからこそ導き出された最良のスタイルだ。
「古着をミックスすることで、アウトドア特有のやぼったさは緩和される」。そう説くのは、幾多の山々を滑り倒してきたスノーボード歴20年の野村さんだ。
65/35ベイヘッドクロスを使用したマウンテンパーカをベースにしたコートに合せたのは、古着のスウェットシャツ。肌に馴染む「日常着」をインナーに投入することで、ガチな山感を漂わせない。全体をシックなネイビートーンで統一したのも正解だ。