衣装協力
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映画、ドラマ、そして舞台と、常に圧倒的な存在感で人々を魅了する内野聖陽さん。年を重ね、渋みを増す男らしさは、僕らが憧れる理想の大人像を体現しているといっても良いだろう。ファッションで心がけているという“自然体”がその秘訣かもしれない。
「かしこまっていたり、僕はファッションに気を遣ってますっていう姿勢が見えるのが苦手なんです。だから、スタイリストにも、できるだけ無頼な感じの衣装を頼むことが多いですね。理想を言えば、ジーパンとTシャツを着ているだけなのにお洒落。そんな男に憧れます。ぜんぜんその域には到達してませんが……」と謙遜する。
こうした理想像は演技でも同じだという。
「僕の芝居は大げさだっていう方もたくさんいるのですが(笑)、常に気張った感じに見えないよう自分では気をつけているつもりです。演技でも自然体な表現を目指したいという思いは強いかもしれません」
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また、世間のイメージを裏切るような新たな役柄に飢えているという。
「いままでやってきたキャラクターじゃない役柄を演じることで、違う一面を引き出したいという役者としての欲求は強いですね。これまでのパブリックイメージと重なるような役柄だったとしても、いまの自分はこんなイメージで見られているのか。思いきりそれに乗ってみるとか、それとも裏切ってやろうかとか、目の前の役をどう料理するのか、試行錯誤していますね」と語る内野さん。こうした役者としての飽くなき情熱が、強烈な存在感の元になっているのかもしれない。
そんな内野さんだが、テレビ東京系で10月5日(金)に放送されるスペシャルドラマ『琥珀の夢』では、日本初の国産ウイスキー造りに命を捧げた男・鳴江萬治郎を演じる。原作は伊集院静の長編小説『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』で、ドラマでは鳥井をモデルにしつつ、フィクションとしてウイスキー造りの苦労がつぶさに描かれる。ウイスキー事業は非常にリスクが高い。原液を仕込み、それを樽で最低でも5年は寝かせる必要があるからだ。その間は利益ゼロ。
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しかも、毎年、仕込みは行う必要があるなど、とにかく金がかかるのだ。劇中でも萬治郎が周囲から猛反対を受ける場面が描かれる。
「ウイスキーに限らず、日本企業の創業者たちが抱いた夢の力ってすごいですよね。情報やモノがない時代だったからかもしれませんが、生きる推進力が桁違いです。いまは情報で溢れ、失敗例だって情報としては溢れています。だから、やる前に怖気付いたり、自分の力はこんなもんだろうって、勝手に限界を決めてしまいがちです。だからこの作品を通じて、夢があるなら恐れずにまずやってみようと思ってもらえたら、うれしいですね」と内野さんは語る。とくに主人公の口癖である『やってみなはれ!』という言葉が心に響いたという。
また事前の勉強で訪れたウイスキーの蒸留所では、ウイスキー造りの奥深さを目の当たりにしたとか。
「ウイスキーは原酒を調合するブレンダーの技量で味が決まります。同じ年に仕込んだ原酒でも、樽や条件によって微妙に違うんです。その差異を嗅ぎ分けながら、ひとつの味に調合していく様子は見事でしたね。実は僕が演じた萬治郎は薬問屋が集まる大阪の道修町で、丁稚奉公をしていました。薬の調合を経験していた彼だからこそ、国産ウイスキーが作れたのかもしれないと、ブレンディングを見て合点がいきました」
2時間半、ほぼ出ずっぱりという内野さんの熱演に注目だ。
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明治12年。大阪の米穀店「鳴江屋」の店主・鳴江義兵衛(中村梅雀)とちよ(原田美枝子)に4人目の子どもが誕生した。萬治郎と名付けられた、その子は13歳で丁稚奉公に出る。母は反対するが、父の言葉を受け入れる萬治郎(渡邉蒼)。そんな中、萬治郎はキラキラした琥珀色の夢を見る。この夢が意味するものとは…。
奉公先の薬種問屋の店主・小南理助(西田敏行)は葡萄酒の開発を行っていた。興味を持った萬治郎は開発を手伝い、やがて販売にこぎつけるが、東京で人気の葡萄酒のおいしさに愕然とした理助は、志半ばで洋酒部を廃止に…。しかし数年後。大人になった萬治郎(内野聖陽)は理助の恩に報いるため、日本一の葡萄酒を完成させるべく再び動き出すのだった!
原作:伊集院 静 『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』(上・下)(集英社刊/日本経済新聞連載) 脚本:森下 直 監督:松田秀知 出演:内野聖陽、檀れい、生瀬勝久、山本耕史、倉科カナ、中村梅雀、原田美枝子、西田敏行 放送日時:10月5日(金)夜9時放送 放送局:テレビ東京系(BSテレ東にて今冬放送)