デジタル家電
ライフスタイルメーカーという概念の家電「ツインバード(TWINBIRD)」の「匠プレミアム」と「感動シンプル」とは
2024.06.20
お洒落な部屋づくりのため家具にはこだわっても、家電まではなかなか気が回らなかったり、スペック重視でデザインは二の次になったりするケースは少なくない。そんな悩みの解決策として、機能性とデザイン性を兼ね備えた製品を手がけるブランド、「ツインバード(TWINBIRD)」を紹介する。
ツインバードの商品開発における興味深いエピソードの数々を、株式会社ツインバード 開発本部 企画デザイン部リーダーの青木 佳さんから伺った。
取材/TAKANORI ITO
協力/TAKAYUKI ASAMI (TWINBIRD)/ YUUKI MIURA
ライフスタイルを提供するものづくり
――ツインバードはどのようなブランドですか?
「弊社は新潟県燕市の三条地域に本社を置く、創業から73年の歴史をもつ企業です。金属加工が盛んな地域で、もともとは『野水電化被膜工業所』という社名でメッキ加工を営んでいました。カトラリーがメインだった冠婚葬祭ギフトに少しずつ家電の需要が高まってきたことで、家電事業へと参入。1979年に『ツインバード工業株式会社』へと社名を変更し、1983年には家電製品を主に手がけるようになった経緯があります」
「2021年には“リブランディング宣言”をして、翌年には『株式会社ツインバード』へ社名を変更しました。ブランドロゴを新しくすると共に、ライフスタイルを提供するものづくりへと舵を切っていくことになります」
お客様の暮らしを考えてつくられた「匠プレミアム」と「感動シンプル」
―― ツインバードのリブランディングで生まれた、「匠プレミアム」と「感動シンプル」について教えてください。
「リブランディングの際に改めてお客様の暮らしと真摯に向き合い、日常を豊かにしようと思った時に、“必要なスペックとは何だろう?” ということを考えました。高いスペックを搭載しても、日々の暮らしでは使わなかったり、その分価格が高くなったりします。お客様が本当に望まれている、必要なスペックを搭載したものが、『感動シンプル』というブランドです」
「『匠プレミアム』というブランドは上記の考えに加えて、その道の有識者にご監修いただき、匠にしか到達できない技術や暗黙知を最新の技術で再現しました。“匠の技を、おうちで好きなだけ味わう”をコンセプトにこだわり抜いたモノづくりと体験づくりを行っております」
「全自動コーヒーメーカー」で匠がつくる究極の味わいを再現
――ツインバードがオススメする商品を紹介してください。
「コーヒー界のレジェンド、南千住『カフェ・バッハ』店主の『田口 護(たぐち まもる)』さんに開発を監修いただいた、匠プレミアム『全自動コーヒーメーカー』をご紹介します。田口さんは、2000年に開催された九州・沖縄サミットの晩餐会にて、各国の首脳にコーヒーをハンドドリップで淹れた人物です」
「豆は挽きたてをすぐに淹れるのが一番美味しい状態です。しかし、挽いた時の粒の大きさが不揃いだと抽出した際に違う味が出てしまい、雑味につながるため、粒の大きさを均等にする必要があります。また、摩擦熱が発生すると豆を痛めてしまうため、低速で挽くことも重要です。豆の風味を損なわないよう、フラットミルという刃を採用しており、このコーヒーメーカーでは『粗挽き』、『中挽き』、『細挽き』の3つのバリエーションで豆を挽くことができます」
「コーヒーの抽出には温度が重要な要素で、高すぎると余分な味まで抽出してしまいます。そのため、田口さんが考えるバランスの取れた味わいを引き出す83℃と、しっかりとした味と苦味を立てられる90℃の、2つの温度設定を可能にしました」
「更に、お湯のかかり方も重要です。『シャワードリップ』という6方向らお湯が出る仕様により、ハンドドリップの回しかけが再現され、ムラのない安定した味わいが楽しめます」
ボタンひとつで匠の焼きたてを再現する「匠ブランジェトースター」
―― 匠プレミアムからもうひとつオススメの商品を紹介してください。
「もうひとつ、『匠ブランジェトースター』という商品をご紹介します。開発にあたり市場の声を拾ったところ、オーブントースターで焼くのは圧倒的に食パンが多いことが分かりました。ただ、好きなパンのランキングを見てみると、1位はクロワッサン、2位はフランスパン、3位は食パンという結果になりました。多くの方がいろんなパンを楽しみたいけれど、トースターで焼くと焦がしてしまうなど失敗しやすいため、結果的に食パンがよく選ばれる食文化が浸透してしまっているのではないか、という考えに至りました」
「そこで、あらゆるパンを美味しく焼き上げるトースターが必要だと考え、当商品の開発がスタートしました。監修いただいたのは、『トモニパン』のオーナーシェフである『浅井 一浩(あさい かずひろ)』さん。浅井さんは、2015年にドイツで開催されたパン職人の世界大会“iba cup”で、日本人初の総合優勝を果たした『世界一のパン職人』です」
「実際の機能について説明します。庫内に温度センサーが入っており、焦げ始める温度を感知して出力を抑える火入れプログラムを開発。クロワッサン、フランスパン、カレーパン、食パン、アレンジトーストに対応する自動リベイクメニューを備えており、それぞれのパンが持つ味わい、香り、食感を最大限に引き出します。
また、常温と冷凍から温めるモードも搭載しており、パンの種類ごとに最高の味わいに仕上がるように設定されています」
「従来のトースターでは温度と時間を自分で設定する必要があるため、どうしても仕上がりに個人差が出てしまいます。本製品の商品名である“ブランジェ”は“パン職人さん”という意味で、あらゆる種類のパンを研究し、こだわり抜いた匠の代わりにこのトースターがメニューを設定するだけで失敗なく、美味しくリベイクしてくれるのです」
家電メーカーからライフスタイルメーカーへ
驚くほど性能の高いツインバードの製品を見せてもらったが、そのデザインにもぜひ注目してほしい。暮らしのなかでこだわりたい、テーブルや椅子などの家具と同じように選ばれるのは、シンプルで洗練されたデザインだからこそ。2021年のリブランディング宣言で、ツインバードは家電メーカーからライフスタイルメーカーになった。性能とデザインが高いレベルで融合した、唯一無二の存在と言えるだろう。
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ファッションライター
伊藤孝法
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ファッション、メンズビューティーのジャンルでさまざまな媒体で執筆中。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーでもあり、ブランドのセールスやPRを手がける。WWDファッショニスタ100人がリコメンド!にも参加。故郷北海道でFM番組のパーソナリティーも担当している。