総合格闘技からプロレスへ。挑み続け、強さの本質を知る天狗・佐々木憂流迦のギフト哲学
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    総合格闘技からプロレスへ。挑み続け、強さの本質を知る天狗・佐々木憂流迦のギフト哲学

    2025.11.17

    クリスマスをはじめ、家族やパートナーへのちょっとしたお礼、忘年会などの集まりに持っていく手土産など──。この季節、ギフト選びに悩む人も多いはず。今回は、独自の個性と感性が光る“あの人たち”に、モノ選びのこだわりや、もらって嬉しかった贈り物、ギフトに込める思いについて聞いた。キーワードは「センス」と「らしさ」。

    5人目は、名門「プロレスリング・ノア」所属のプロレスラーで、2023年にプロレスリングデビューを果たした佐々木憂流迦選手。その名前を聞いてピンと来た人もいるはずだが、総合格闘技の世界最高峰UFCで4年間活躍し、RIZINの舞台でも名勝負を繰り広げてきた元総合格闘家だ。自身でファッションブランドも手掛けるほど生粋の服好きで、オシャレさんとしても知られる憂流迦選手の現在地のほか、服のこと、好きなモノ、ギフトに対する考え方など胸の内を聞いてきた。

    Photo:Yuto Kuroyanagi/Text:Kazuyuki Nomura

    “強くて優しい”プロレスラー 佐々木憂流迦の現在地

    Person.5
    プロレスラー/佐々木憂流迦さん

    ——総合格闘家の頃に比べ、身体が明らかに大きくなっていて驚きました。プロレスに転向した理由はなんだったんですか?-

    僕の兄貴がプロレス好きで、その影響もあって子供の頃から僕もプロレス大好きだったんですよ。それこそ、小学生の頃に埋めたタイムカプセルの手紙に「プロレスラーになれていますか?」って書いていたくらい。でも、日本でPRIDEやK-1が始まって格闘技がワッと盛り上がった時期に、総合格闘家になりたいとう思いが強くなって、迷ったけどそっちの道に行きました。だから、プロレスラーへの憧れはずっと心のなかにはあったんです。それで、忘れもしない2023年の元旦。日本武道館で行われたグレート・ムタVS中邑真輔の試合を見たんですけど、ほんとそれで自分でもびっくりするくらい心が震えたのが分かったんです。あの試合を見て、プロレスってこんなこともできるんだ。やっぱりカッコいい、すごいなって。僕が追い求めていた「ファイトアート」のひとつの答えを見せられた気がして、そこで人生が変わりましたね。

    ——総合格闘技とプロレスは全く異なる競技ですが、不安はなかったですか?

    もちろんありましたよ。総合格闘技とプロレスは全く違う競技。これまで総合格闘技で十数年積み上げてきたキャリアは一回全て捨てて、ゼロからの挑戦なので。まだ20代とか若い頃だったら分かるんですけど、33歳でいきなりプロレスに挑戦ですからね。実際、周りからもめちゃくちゃ反対されました。それでも、心に決めたことだから絶対にやろうと。

    ——プロレスデビューして約1年ですが、率直な感想は?

    ©︎プロレスリング・ノア

    まずプロレスラーとして闘える身体づくりから始めて、体重も30kgくらい増やして身体を大きくして。プロリスリング・ノアの道場で約1年基本のトレーニングをみっちりやりながら準備を続けてきました。昨年、有明アリーナでデビューし、プロレスラーとしてリングに立つことができましたが、本当にプロレスにどっぷりと浸かった、激動の1年でしたね。

    ©︎プロレスリング・ノア

    実際にデビューしてから、改めてプロレスラーのすごみを目の当たりにしているし、真のプロフェッショナルだなと実感しています。僕自身、日々模索しながらプロレスを深く知っている最中ですが、自分のなかで思い描いているクオリティに辿り着くのはまだまだ遠い。総合格闘家がプロレスのリングにあがっているわけではなく、佐々木憂流迦というプロレスラーとしてリングに立っているわけだから、生半可なことはできないし。これからプロレスラーとしてどうなっていくか、皆さんに期待してほしいけど、僕自身が一番楽しみで、ワクワクしていますね。

    ©︎プロレスリング・ノア

    あと、プロレスラーになって驚いたのが、スケジュール。ほんとヤバいです(笑)。全国ツアーで各地をバス移動しながら、週3回、多い時は週5回くらいリングにあがって試合をしています。試合が終わったらすぐバス移動して、またすぐ試合して。それが1年続くワケですから。プロレスラーは本当タフじゃないとやってられない。でも、それだけやると毎回反省点も見えてくるし、修正もできるから成長も早い。なんとか食らいついていって、元総合格闘家である自分にしかできないスタイルを追求していきたいですね。

    ——憂流迦さんといえば、アパレルブランドのディレクターという一面もあります。

    そうですね。LAZY GOD(レイジーゴッド)というブランドをやっていて、今年で6年目。自分でデザインして、毎年しっかりつくっていますよ。LAZY GOD=怠惰の神という意味なんですけど、怠惰の神をイメージしたグラフィックには薔薇の冠をかぶせて律しており、「脱力と創造」がコンセプト。自分のなかのだらしなさを認めながら、頑張り過ぎないカッコよさを追求しており、僕の人生観とか、世界観とか内面的なところを落とし込みながらデザインしています。ゆるく着こなせるストリートウェアなんですが、ファニーな要素も入れながらキャッチーに着こなせるようにかなり毎回意識していますね。

    LAZY GOD / “PEACE” OVER SIZE HOODIE

    LAZY GOD / “LAZY NOIR ROSE”HALF PANTS

    服ってその人にパワーを与えてくれるなと思っていて、僕自身何度も救われてきました。シンプルに人から「それカッコいいね」って言われるとすごく嬉しいし、それだけで1日ハッピーに過ごせます。だから、服づくりは僕のライフワーク的なところでもあって、自分の生活に欠かせないもののひとつですね。

    今までもらったものを行動でも還元していきたい

    ——格闘技、プロレス界きってのセンスの良さで知られる憂流迦さんですが、ギフトはどういう視点で選びますか?

    ギフトって結構気を使いますよね。僕の場合、自分で使うものや服とかは人に選んでもらうのが苦手で、基本的には自分で選びたい派。人にモノを贈る時もいろいろ考えちゃって、逆に贈れない。今年は奥さんとカメラを共通の趣味にしたいねって話しているので、自分と奥さんそれぞれに買えればいいなって思います。

    SONY/FX3

    僕は自分のYoutubeチャンネルや、趣味としても使えるカメラを探していて。結構凝り性なので一度調べ始めると、ほかのことが手につかないくらいずっと調べてしまうんですけど、今いいなって思っているのがSONYのFX3。カメラに詳しい人にいろいろ聞いたり、口コミとかも調べたりして、今めちゃくちゃ気になっています。これ買ったら、最近なかなか更新できていない自分のYoutubeチャンネルの更新頻度もあがるかも。

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    SONY/α7C Ⅱ

    妻へのプレゼントに考えているのがこちらのミラーレス一眼。最先端のシステムを備えながらコンパクトなボディなので女性でも使いやすそうで、写真を趣味にしたい妻にもちょうど良いかなと思って。でも、妻は結構インドア派なので先にやめちゃうんじゃないかと思いつつ(笑)。2人で共通の趣味ができると、いろいろ楽しみも広がりそうですよね。

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    ——モノ以外でも何か贈ることはありますか?

    もちろんあります。むしろ、僕の場合はそのほうが多いかもしれません。今度両親に沖縄旅行をプレゼントするつもり。僕の職業柄っていうのもあるけど、家族や周りの人たち、ファンの人たちに沢山の“気持ち”をもらってきたから、今度は僕が社会に、それを還元というか、お返ししていきたい。

    その一環として最近始めたのが「天狗の羽プロジェクト」です。小中学生に向けた無料の格闘技教室で、格闘技をきっかけに何か夢とか希望を持ってくれたらいいなと思い、今年から始めました。僕のリングネーム「憂流迦(うるか)」は、サンスクリット語で「天狗」という意味。天狗のように強く、大きな羽で自由に羽ばたいてくれる子供たちになってほしいという願いを込めて、このプロジェクト名にしました。

    子供たちの純粋な気持ちに触れると僕自身元気をもらえるし、とても楽しいですね。格闘技は単なるスポーツではなく、人生の大切なものがたくさん詰まっていると思うんです。この活動を通じて1人でも多くの子たちが何か前向きな気持ちになって、羽ばたいてくれたらいいなと思います。定期的に開催しているので、興味のある人はぜひ「天狗の羽プロジェクト」のホームページをチェックしてみてください。

    【天狗の羽プロジェクト】
    https://tengu.site/tengu-wings-project-lp.html

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