ギフト
90’sカルチャーを遊ぶ男・ZEN-LA-ROCKが贈る、“FUNでDOPEなモノたち”
2025.11.17
クリスマスをはじめ、家族やパートナーへのちょっとしたお礼、忘年会などの集まりに持っていく手土産など──。この季節、ギフト選びに悩む人も多いはず。今回は、独自の個性と感性が光る“あの人たち”に、モノ選びのこだわりや、もらって嬉しかった贈り物、ギフトに込める想いについて聞いた。キーワードは「センス」と「らしさ」。
2人目は、ラッパー、MC、DJ、プロデューサーとしてさまざまな顔でROCKし続けるZEN-LA-ROCKさん。鎮座DOPENESSとG.RINAとのグループ「FNCY」でも精力的に楽曲をリリースし、自身のブランド「NEMES」も手がけるなど器用かつ自由にシーンを泳ぎ回る氏に、好きなモノやギフト、買い物の考え方などを聞いてきた。自身でも「かなりのオタク気質」というように、ZEN-LAさんならではのマニアックなモノ選びの視点にも注目だ。
Photo:Yuto Kuroyanagi/Text:Kazuyuki Nomura
撮影協力:óleo
90年代のカルチャーが身体に染み付いている
Person.2
ラッパー、DJ、NEMESディレクター/ZEN-LA-ROCKさん
——自身でプロデュースする〈NEMES〉も人気で、独自のファッションスタイルも注目されているZEN-LAさんですが、自身が引かれるモノの傾向を教えてください。
やっぱり、僕が青春時代を過ごした90年代のカルチャーはずっと大好物ですね。もう僕のマインドのなかに刷り込まれまくっているというか、ずっとベースにあるもの。
僕、埼玉県の西川口出身なんですが、中学から都内の私立校に通っていたんです。で、やっぱり東京の子たちはすべてが進んでいて、埼玉出身の僕は最初全然ついていけなくて。
鮮明に覚えているのが、ある時私服で行く遠足の際に、友達がTHRASHERのパーカーを着ていたんですよ。僕はそれが直感的にカッコ良く思えて、それ何? どこの? みたいなことを聞くんですけど、友達は「いや、スラッシャーだよ。STORMYとか、どこでも売ってんじゃん」みたいに不思議がっていて。僕からしたら「スラッシャー!? ストーミー!? なんですかそれ!?」みたいな(笑)。
そんなギンギンの子たちと友達になっていくにつれ、だんだんその頃(90年代)の東京にどっぷりと染まっていったんですよ。ファッションもそうなんだけど、遊びも、音楽も。それこそ洗礼のように。で、その頃まわりにスケートやっている奴が多くてヒップホップとも出合うんですが、僕は昔からオタク気質みたいなところがあって、ヒップホップを取り巻くサブカルチャーみたいなところにもだんだん惹かれていって。それが今も続いているという感じですかね。
——最近ゲットしたもので、特に嬉しかったものはなんですか!?
「WILD STYLE」VHDソフト
1983年に公開された「WILD STYLE」という、ヒップホップ・カルチャーをテーマにした映画のVHDソフトです。ドキュメンタリータッチの映画で、内容はB級映画ですが、ヒップホップ黎明期の空気感が分かる貴重な作品。VHDという当時のビデオディスクの規格で、裏面には日本語が書かれているから、多分ちゃんと正規で日本に輸入されたもののようです。
撮影スタジオに無造作に置かれてあって、これヤバいねって話していたら「欲しいんなら持って行っていいですよ」と。えー、そんなステッカーくれるみたいにくれちゃうの!? みたいな。超ラッキーでゲットしたアイテムです。どれくらいの価値があるのか分からないので、なんでも鑑定団に持っていきます(笑)。
——最近買ったモノはありますか!?
SUBWARE ヴィンテージTシャツ
ずっと欲しくて、最近念願かなって手に入れたヴィンテージTシャツです。SUBWARE(サブウェア)というブランドが、90年代中旬かな? リッキー・パウエル氏のテレビ番組のプロモーションでつくったものだと思います。
Rappin With The Rickstarの文字はその番組のタイトルで、先ほど紹介したWILD STYLEのロゴと同じZEPHYR(ゼファー)というグラフィティライターが描いていて、氏の写真がプリントされています。この年代のグラフィティライターのスタイルがすごく好きで、今見てもグッときますよね。
以前からずっと欲しいなと思っていたところ、福島県の有名なコレクターの方がインスタで売りますっておっしゃっているのをたまたま目にして。サイズも僕にぴったりのXL。ダメ元でメッセージしてみたら、譲ってくれることになったんです。
後日談で聞いたら、世界中から売ってほしいとメッセージがきていたみたいで、良心的な価格で譲ってもらえて本当にラッキーでしたね。先日、ネイバーフッド30周年のパーティーにお呼ばれした際にこれ着て行ったんですけど、当時を知る諸先輩方から「お前ヤバいTシャツ着てるな〜」っていじってもらえて(笑)。嬉しかったですね。
CAZALのサングラス
あと、最近このCAZAL(カザール)のサングラスも新調しました。カザールは’80年代のヒップホップファッションと結びついていたアイコニックなブランドで、昔から大好きで10本以上持っています。オールドスクールな雰囲気も堪りませんね。
これは今年のモデルで、大振りだと思うかもしれませんが、昔はもっと大きかったんですよ。チタンが使われていて、日本人の顔にフィットするノーズパッドもついているのでとても掛けやすい。しっかりと令和仕様になっていますね。
ヒップホップファッションとの相性もよくて、なんかしっくりくるんですよ。僕らの年代にはお馴染みのブランドなんだけど、若い子にもオススメですね。
相手のことを第一に考えながら、自分らしいモノを渡したい
——モノを選ぶ時、買う時のこだわりがあれば教えてください
古着とかヴィンテージは、自分の思う適正価格以上の金額だったらどれだけ欲しいものでも絶対買わない。最近はヴィンテージのTシャツとかレコードとかも大人気なので価格が高騰しているものもありますが、それを買うのは自分のなかではNGかな。僕はコレクターではないので、いくら出してでも絶対に手に入れたいというのはないですね。
適正価格がどれくらいかなっていうのは自分のなかで何となくあって。例えば寿司とか焼肉でも、お金を出せば美味しいものはいくらでも食べられるけど、そこじゃないんだよな〜みたいな。自分の価値観で探して、出会いがあって、適正価格なら買うっていうのが自分的に気持ちいいというか、しっくりくる。
僕、実家が古本屋なので、昔からそういうのが染み付いているのかもしれませんね。父親もそういうところあるし。
——誰かにギフトを贈る際、どんなモノを贈ることが多いですか?
相手が喜びそうなモノを贈るのが基本ですが、相手の趣味嗜好が分かっていれば、それを踏まえて僕の持ち物からあげることもあります。何かお祝い事があった時などに「よ〜し、じゃ俺の秘蔵のTシャツをあげるよ。俺にはちょっとサイズ小さくてさ」みたいに、軽いノリであげることが多いですかね。そのほうが相手も気を遣わないと思うし。そういうのが自分らしいかな。
この間も鎮くん(鎮座ドープネス)に出産祝いで90年代に販売されていたマイク付きのラジカセをプレゼントしたんですけど、凄く喜んでくれて。そのあたりのカルチャーを通ってきている人は、僕がチョイスしたものは大体喜んでくれるかな。
——皆が買いやすくて、オススメのギフトがあれば教えてください。
そうですよね、あんまにマニアック過ぎても参考にならないですもんね(笑)。普通に買えて、ちょっと変化球的な面白さもあって、男子にも女子にも喜んでもらえそうなのが、こちらのビーニーでございます。
90年代にB-BOYやB-GIRLの間で流行した555 SOUL(トリプルファイブソウル)のビーニーをオマージュした、554(ファイブファイブフォー)のNEMES別注品です。当時のMVや雑誌などでもさまざまなラッパーやアーティストがかぶっていたので、懐かしいと感じる人も多いのではないでしょうか。
上野さんという先輩がつくっているんですけど、先日お会いする機会があった際に「最近めっちゃかぶってくれているよね」って見てくれていて、NEMES別注でやらせてもらえることになったんです。
素材を少し変えて、不規則な凹凸感のある素材に変更し、何と日本製。紐を結ぶとビーニーになり、外すとヘアバンドやネックウォーマーとしても使えます。あんまり沢山は作ってないんですけど、男子はもちろん、女子にプレゼントしても喜んでくれるのではないでしょうか。是非!って感じです。
——今回見せてもらったもの全てがZEN-LAさんらしいなと感じました!
ありがとうございます。やっぱり好きなモノはずっと変わらないし、ずっと好き。一周回って好きとかじゃなくて、ずっと変わらず好きな感じですね。自分の活動のスタンスもずっと変わってなくて、自分が楽しいことを見つけて、やり続ける。楽曲も、DJもMCもブランドも全部根底にあるものは変わりません。やっぱり楽しいのが一番ですから。そんな感じでこれからもやっていけたらと思います。
