室内の空気を常に入れ替えることで快適な環境を維持する「24時間換気システム」。埃や花粉、虫などが室内に侵入するのを防ぐために必要となるのが、換気口・給気口フィルターだ。埼玉県にある「日本住材株式会社」は、消臭・抗菌防臭・制菌の厳格な検査基準をクリアした証である「SEKマーク」を、換気口フィルターとしては日本で初めて取得。日本製にこだわり、製造からパッケージングまでを全て自社で行ってきた。2011年の創業以来、品質と価格帯にこだわりながら、事業を拡大してきた日本住材株式会社は、ECサイト「フィルターコム楽天市場店」を2016年に本格的にスタートさせた。代表・吉田 賢氏に商品開発へのこだわりと、取り組みについて聞いた。
アレルギー・花粉症対策にも有効なフィルターの販売を行う日本住材株式会社のECサイトとして、2016年に本格始動した「フィルターコム楽天市場店」。内装関係の営業職に従事していた吉田 賢代表は、顧客とのやり取りのなかで、この事業に可能性を感じたという。
「中古や新築の物件をまわっていると、換気口を見て『これ、何?』とか『換気口のフィルターはあるの?』など、換気口そのものの存在を知らなかったり、フィルターの交換の仕方、購入の仕方が分からないとおっしゃるお客さまの声が多くあったんです」
そんなときはお客の代わりに、吉田代表がインターネットでフィルターを購入したり、大判のフィルターをハサミでカットしていたのだそう。
「自宅に付いている換気口のメーカーや品番が分からなかったり、そもそもどこで購入できるのかを調べるのは大変だし、枚数も30枚〜50枚入りと多くて単価も高い。交換方法も文字だけだったり、分かりづらいイラストが載っているだけなので、それを見ながら実際に取り付けるのは難しい。そして安全性に不安のあるものが多かったんです。そこで『安全性や機能性のエビデンスが取れていて、5枚くらいから購入できるフィルター専門のショップがあったらいいな』と考えたんです」
そうして立ち上げたのが「日本住材株式会社」だ。価格や手間はもちろんだが、会社を設立するにあたり、吉田代表が最もこだわったのは「安全性」だと言う。
「私も皆さんと同じように、日用品をインターネットでよく購入しています。商品を選ぶ際には、価格の安さだけでなく、安全に使えるか、どんな機能性があり科学的な根拠があるか、といった点も大切にしています。そのため、選ぶのはメーカー純正品であることが多いです。私自身が継続して購入したいと思えるような商品をつくりたいのです。そうなると、自分の目の届く範囲で完結できる“国内”でつくりたいという思いが、まずありました。誰が、いつつくっているのかをすぐにチェックできることは、品質を安定させるために大事な要素だと思います」
「フィルターコム楽天市場店」の製品は製造からパッケージングまで全て国内作業。信頼のおける国内のメーカーにフィルター本体となる不織布を発注し、工場で裁断し検品、箱詰めまでを行っている。
本社近くの別館には、フィルターの本体となる不織布の原反(製品になる前の生地)をストック。代表が認めた製造会社から取り寄せている。
もともと顧客の声を直接聞いたことから会社設立を決意した吉田代表。今でも「フィルターコム楽天市場店」の9割以上の注文が、個人宅によるものだと言う。2015年の設立から順調に知名度と売り上げを伸ばしてきたが、コロナ禍をきっかけに需要がさらに高まった。
「厚生労働省による、換気による空気の入れ替え改善指導があったこと、時間ができて部屋の掃除を徹底的に行う人が増えたことによってフィルター掃除が注目されたことなど、さまざまな理由から売り上げ増につながりました。この時期に新規の顧客が増え、現在までにざっと計算したら、およそ30万世帯以上の方が、弊社の製品を利用されていることになります。リピートするお客さんが多いのと、新しい商品を増やしていることが事業拡大につながっています」
ECサイトは、顧客の声を聞ける最も有効なツールだとも話す。
「お客さまから『この商品をつくれないか?』とご提案いただくこともよくあります。既にメーカーが廃盤にしているフィルターも、弊社ではつくり続けています。こういったご意見やご提案は本当にありがたいです」
また、商品開発や商品の配送については、「スピード」も大事にしているそう。
「お客様が商品をご注文される際、多くの場合は『汚れたフィルターを交換したいけれど、手元に予備がない』といった、何かお困りごとを抱えていらっしゃる状況ではないかと考えています。お客様のお困りごとを少しでも早く解決できるよう、迅速な配送体制を整え、ご注文いただいた商品をできるだけ早くお届けできるよう努めています。これからも事業は拡大していきますが、『一つひとつ丁寧に、親切に』というスタイルでやってきたので、ここはブレずにずっと大事にしていきたいですね」
現在はフィルターのバリエーションをもっと増やすことと、換気口カバーの商品化を考案中だ。
「換気口の付いた住居に住んでいる方々にアンケートを取ったことがあるのですが、付いているにも関わらず、それが何であるか分からない方が約半数いらっしゃったんです。まずは換気口と、フィルター交換の認知度をあげたいですね。フィルターが汚れているのは、汚いマスクをつけて呼吸をしているようなものです。花粉症などのアレルギー対策や、室内の空気をきれいに保つためには、換気口から見直すことが大事なので、これからも住環境を改善するお手伝いをしていきたいと思っています」
本社近くの工場で、フィルターを製作。不織布の原反を特注の機械で裁断していく。
裁断したフィルターを別の機械で型抜きしていく。機械の後方の棚には四角や丸型、大きなものから小さなものまで、さまざまな型が収納されている。この工場では、一日に数千から数万枚のフィルターを生産、検品、箱詰めしている。
業界では“日本初”の「SEKマーク」を取得
換気口・給気口フィルターが、
日本中の空気をきれいにする