たった1さじで納豆約10パック分という驚きのパワーを発揮する、はすやの「粉なっとう」。約30年前、納豆菌を「冬眠」させて粉末化し、菌が生きたまま腸に届いて活動させることに成功した。現在は、創業者である父が追究した菌の可能性を「なっとう3姉妹」が継承。健康サポートを通じてお客様とご家族を幸せしたいという想いを聞いた。
徳島県勝浦町の里山に本社と工房を構えるはすや。大手メーカーのエンジニアとして海外勤務をしていた創業者が「自然豊かな場所で三人の娘を育てたい」と脱サラして移住。この地に合う仕事として、菌床シイタケの研究・栽培を始めたところ、味も質も良いシイタケが次々と生育した。
「根っからの技術者、研究者である父は、次に納豆菌の研究を始めました」という長女・光(ひかる)さん。
日本古来の健康食品・納豆は、腸内の善玉菌を活性化させる整腸作用が特長。免疫細胞の約7割が腸でつくられると言われ、昨今は免疫力向上や疾病予防の観点からも注目されている。
ただ、納豆菌は、熱や酸への耐性が低く、腸に届くまでに死滅する弱点があった。創業者は納豆菌が過酷な環境に陥ると「芽胞(がほう)」という殻をつくって冬眠のような状態に入る特性に着目。納豆菌を独自に冬眠させ、粉末化にする方法を編み出した。
「通常の納豆に存在する納豆菌は、発酵に力を使い果たした状態。一方、「粉なっとう」に存在する納豆菌は力を蓄えたまま眠っている状態です。熱湯に入れても冷凍しても、胃酸にさらされても耐え抜く不死身さで、1さじあたり40億個以上の納豆菌が生きたまま腸に到達。カラダの中で目を覚ましてパワーを発揮します」という次女の旭(あさひ)さん。
「粉なっとう」の商品化とほぼ同時に、はすやはECに進出。楽天市場にも2004年と早い段階からショップをオープンしたが、当初は各地の物産展を回っての販売が中心だったという。ところがある日を境にネットの注文が殺到。電話も鳴りっ放しになった。
「ある人気女優の方がテレビ番組で『粉なっとう』を愛用していると紹介してくださったんです。まさかの事態でしたが、商品を広く知っていただくことができました」(旭さん)
大反響を呼んだ「粉なっとう」は一時の話題で終わることなく、多くの愛用者を獲得した。最大の理由は、納豆特有のニオイやネバネバがなく、大豆の旨味と香ばしさを味わえること。粉末なので、料理や飲み物にかけたり混ぜたりするだけで有用な納豆菌を摂取できる手軽さも心を捉えた。
「私たちは毎日の白いご飯やお味噌汁のように『粉なっとう』が食生活に欠かせない食材として定着することをめざしています」(光さん)
日々食べる物だからこそ、安心・安全は徹底的に追求。さらに商品の袋詰めやロゴのシール貼りといった作業を“愛の手詰め”、“愛の手貼り”と呼んで、すべて人の手で行うはすや。コストも手間暇もかけるのには、三姉妹の健康に対する強い想いがあるからだ。
「商品化して間もなく父が急逝し、私たちは健康のありがたさを痛いほど感じました。病に気づいてからでは遅い。元気なときから健康に気を遣ってほしいという願いから商品をお届けしています。また、自分の身体と健康は自分が食べる物でつくられていくので、お客様が召し上がることを考えると、どんなに些細なことも手を抜くことはできません」(旭さん)
菌は複数組み合わせると相乗作用を期待できることから「粉なっとう」と併用可能な「粉ヨーグルト」「甘酒プロテイン」といった商品も開発。また、母である現社長が創業当時からアジアやアメリカに販路を開拓してきたことから、日本だけでなく、世界の人々の健康サポートにも力を入れる。
「自分も家族も元気なことは何よりの幸せではないでしょうか。また、元気があれば、どんなことも乗り越えられ、夢を叶えることもできると思います。そのために、父が私たちに託してくれた菌の力をたくさんの方に活用いただき、健康づくりをお手伝いしていきます」(光さん)
父が見出した納豆菌の秘めた力と
家族の愛で世界中の人を健康に