抜群の機能性と座り心地で、2022年の発売以降売れ続けているゲーミングチェア「ウィステリア フリーダムチェア」。ブランド「TOKIO」を有するオフィス家具メーカー、藤沢工業株式会社と、オフィス家具を中心に販売するショップ「RELAFULL(リラフル)」がタッグを組み、共同開発した拘りの一脚だ。時代のニーズに合ったモノづくりが実現した背景には、藤沢工業の、顧客を第一に考える「ものづくり精神」があった。
昭和39年に、わずか10坪の車両部品の溶接工場からスタートした藤沢工業株式会社。現在の代表取締役社長・藤沢克浩氏は、10代の頃からオフィス家具メーカーとしての礎となる「折りたたみチェア」の製造に着手し始めた。
「『車両の部品を作れるなら、椅子もできるのでは?』とお客様からオファーを受けたのが業界進出の第一歩。始めた頃は職業訓練生の力を借りていましたが、人件費などの問題などから海外で製造することに移行しました。その後、お客様から『タスクチェアはできないか?』と言われ、やったことはないけれど、とにかく一度やってみようと、見よう見まねでトライしたんです。当時のタスクチェアはオール国産でしたから、価格帯は高かった。それを海外で作ることで低価格、且つデザインも遜色がない商品として生み出すことができ、ありがたいことに大変好評をいただきました」
創業時より「顧客の声」から商品を生み出してきた藤沢工業が、現在強みとしているのは「デザイン設計〜納品までワンストップ」で対応が可能であること。国内外13拠点、多くの協力業者との生産体制を構築している。
「『全てイチから作らなければ競争には勝てない』が先代からのモットー。材料調達から設計まで、全て社内で行っていることは、他社との大きな違いだと思っています」
――そして時は流れ、Eスポーツが注目されるにつれて、ゲーム用チェアのオファーも増えてきた。
「それまではB to Bの商品だけだったのですが、お話をきっかけにB to Cの商品も手がけてみようかなと。ジャンルとしては後発でしたから、差別化をしなければと思いました。そこで2022年に誕生したのが、お尻にやさしい『3Dモールドウレタン』を使ったゲーミングチェア。これが非常に高評価をいただいて、今は『ウィステリア フリーダムチェア』として、藤沢工業の主力商品になっています。
そして、新型コロナウイルスが世界を襲う直前の2018年、家具を含めたオフィスなどの「空間デザイン」に乗り出した。
「作って売るだけではなく『提案ができる会社になりたい』とずっと考えていたんです。今の時代は、ミーティングスペース、食事をするスペース、休憩するスペースなど、フロア全体を考慮したうえで空間スペースを作らねばならない。家具だけでは、お客様に部屋全体のイメージ作りをしていただくのは難しいですから、“空間ごと提案したい”と思ったんです。コロナ禍が明けた2023年、空間デザインの取り組みがようやく実を結ぶようになってきました。これからも「ものづくり精神」を大切にしながら、新しい時代の“空間創造”に挑戦していきます」
新しい挑戦「空間デザイン」の事業を担うのは、実際のデザインを手がける「デザイン室」、そして顧客とコミュニケーションをする「営業部」。デザイン室の藤原麻未さんは、空間デザインを担当すべく2020年に入社した。
「スタートしたばかりの事業なので、慎重に丁寧に行っています。営業に同行して、お客様のお話をよく聞いて、予算とマッチしたものを提供すべく努めています」(藤原さん)
そして「空間デザイン」を世に広めるために奔走する営業部・菊池弘匡さんの、営業パターンは3つに分類される。
「一つ目は、販売代理店様への営業。通常、販売代理店様がオフィスリニューアルの依頼を受けた場合、椅子は藤沢工業から製品を調達し、テーブルは○〇〇社から製品を調達……というふうに各社から集めなくてはならなかった。それが、藤沢工業は『トータルで提案と調達』できるわけです。レイアウトする家具は弊社の製品だけでなく、他社の製品も提案と調達しています。二つ目は、デザイン事務所さんや設計事務所さんに対する、自社商品のPR営業。直接的な『空間デザイン』の仕事ではないのですが、案件を沢山お持ちなので商品をスペックしていただき、様々な案件やお客様に繋がっていく可能性があります。三つ目は、民間企業や施主様などから、直接お話をいただく場合です。現代ではみなさんホームページなどで価格比較も簡単にできますし、目も肥えていますから、直接手がけようという方も多くなってきました』(菊池さん)
「社員の意見を同じ目線で聞いて、柔軟に対応してくれる」と言う藤沢代表のもとで働くうちに、営業として強く意識するようになったことがあると言う。
「とにかく『お客様の意見を聞く』ことを重視しています。営業として、熱量高くついついアピールしすぎてしまうこともありますが、お客様からいただける情報には常にヒントがありますから。本質を捉えないとリピートにはつながらない。藤沢工業、オフィス家具ブランド『TOKIO』の認知度をあげて、空間デザインもやっているということを、もっと広めていきたいですね」(菊池さん)
柔軟な発想を持つ藤沢工業の商品をWEBで販売することになったのが2022年。現在は、リラックスできる家具の提供を目指すECショップ「RELAFUL(リラフル)」とタッグを組んで運営している。ショップの運営を担当するRELAFULの白神孝幸さんも「お客様のレビューは全てに目を通している」と言う。
「藤沢工業と共同開発した『ウィステリア フリーダムチェア』は、ゲームをする際に“長時間座っていても疲れない”ということを追求したゲーミングチェアです。もちろん在宅ワークなどでもお使いいただけます。共同開発のスタートとなったこの商品がヒットしたことで、まずはホッとしています」(白神さん)
海外ブランドのゲーミングチェアと比べると「ウィステリア フリーダムチェア」の価格は約2倍。WEBで販売する上での工夫や注意点を聞くと――。
「海外ブランドの商品は保証期間が短いのに対して『ウィステリア フリーダムチェア』は、3年に設定しています。レビューに書き込んでいただいたご意見には、スタッフが1件1件全て返信していますし、いただいたご意見は全て吸い上げて、藤沢工業での商品改良に生かしています。その柔軟性と、メーカーとしてお客様に良いものを届けたいという真摯な態度が、良い商品の開発とリピーターの好循環を生み出しているのだと思います。今後も、藤沢工業と一緒に売れ筋の商品のポイントを押さえながら、お客様にご支持いただける商品を作り、一つひとつ丁寧にリリースしていきます。それをしっかりと積み上げて、椅子から始まる新しい“空間の創造”を実現したいですね」(白神さん)
オフィス家具メーカー
藤沢工業 × RELAFULL(リラフル)
椅子から始まる、次世代の“空間創造”。