匠のモノ語り
グリーンモード インタビュー

フェイクグリーンを生産性向上の必需品に「グリーンモード」が提案する新時代のオフィスデザイン

Text:HIROMI YAMANISHI(HISTOREAL)  Photo:YOKO SAKAMOTO 2024.4.15
グリーンモード

壁付けインテリアの「WALL MATES」と共に、株式会社ベルクが展開するフェイクグリーンを扱うブランド「グリーンモード」。ブランドを立ち上げてから10年、コロナ禍は転機となり、フェイクグリーンの需要が高まったことで売上を倍増させたという。ブランドを支える営業担当のふたりに、需要が高まった背景と、これからの展開について聞いた。

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コロナ禍でワークスタイルの改善が進み
フェイクグリーンの需要がアップ

壁付けのインテリアブランド「WALL MATES」を生み出した1968年創業の株式会社ベルク。2014年に登場したのが、フェイクグリーンを販売するブランド「グリーンモード」。年々着実に業績を伸ばしている同ブランドだが、転機はコロナ禍だったという。

「新型コロナウィルス感染症が広まる前までのグリーンモードでは、商業施設のフードコートや休憩スペースなどでコンセプトに合わせて特注で製作するのが主でした。しかしコロナ禍になって、利用者に長居して欲しかったこれらの空間は、くつろいではいけない場所になってしまったんです。それ以前から、オフィスではデスク配置や勤務時間の見直しなど、職場での生産性向上のための取り組みが叫ばれてきたけれど、実際のところあまり進んではいなかった。しかし、グリーンモードでは、それを受けてコロナ前から販売網をオフィスに広げようと準備をしていたんです。するとコロナが拡大すると共に、オフィスでの働き方が一気に変わって、オフィスは縮小化しテレワークが始まった。そこで、社員が毎日出社をしなくなったオフィスでグリーンの環境が見直され、採用されるようになったのがフェイクグリーンだったんです」(河端さん)

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株式会社ベルク サインディスプレイ事業 東京本社 グループリーダー 河端孝幸さん。印刷に興味があったことからアートを入れる額縁を取り扱うベルクを知り、新卒で入社。法人向けのアート事業などを経て、現在はグリーンモードの事業責任者に。

「ワークスタイル改善が求められるようになった頃から、『グリーンが職場にあるといいね』という考えはあったと思うんです。しかし生の植物では、水をあげたりといった日々のお世話が大変。コロナ禍ではそれが顕著にあらわれ、人工のグリーンの需要が徐々に高まっていったように思います」(深澤さん)

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株式会社ベルク サインディスプレイ事業 東京本社 リーダー 深澤祐介さん。趣味で絵を描いていたことから額縁を取り扱うベルクに興味を持ち、転職。現在はグリーンモードの営業兼カタログ制作を担当。

グリーンモードの商品の特徴は、規格品から選べるため造作を必要としないということ。本社デザイナーが考案した、本物の植物のような鉢植えタイプの人工樹木やパネルやポット、置くだけで完成するさまざまなタイプの商品がある。

「たとえば『デスクまわりに置きたい』というご要望があれば、すでにデザインされた該当する商品が何パターンもそろっています。ですから、ユーザーは商品を見て、好みのものを選ぶことができます。グリーンの良さをわかっていただくためには、業者が入って造作するのではなく、社員が自ら好きなものを選んで購入する、というのが一番だと思うんです」(河端さん)

グリーンモード
緑の葉をアレンジした「グリーンパネル」や額装した「インテリアデコ」は、観葉植物と違い、壁面にインテリアとして簡単に設置できる。
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人工観葉植物の樹木をアレンジした、本物そっくりなプランターも。掃除は表面のホコリを取るだけでOK。

グリーンを組み合わせて
オフィスをトータルコーディネートして欲しい

グリーンで居心地の良いオフィスをつくる。そのためには、トータルでデザインして欲しいと強調する。

「グリーンモードのコンセプトは、『空間をデザインする新しいグリーンスタイルで、居心地のいい空間づくりのお手伝いをする』です。オフィスの在り方が変わったコロナ禍を機会に、グリーンモードではさまざまな空間を利用した商品を開発しました。グリーンの良さは1個2個置いただけでは伝わりにくい。デットスペースなども活用して、グリーンを含めたトータルコーディネートをしていただきたいです」(河端さん)

アルミでつくった額縁を日本で初めて取り扱ったベルク、壁を利用した商品を次々に生み出してきたWALL MATES。グリーンモードではそれらの特徴を生かした、壁や天井に取り付けるタイプやインテリア素材を使ったアートタイプの商品を開発。それらを組み合わせてつくり上げた空間デザインのモデルが、「グリーンモードカタログ」にも掲載されている。

「最近のオフィスのイメージを参考にしながら、空間デザインを手描きします。そこから3Dを扱う企業に依頼して画像化し、できあがったものがカタログに掲載されています。実際の営業では、新しいスタイルのフェイクグリーンが多いため、使い方や効果など、3D画像の事例をもって説明しています」(深澤さん)

グリーンモード
『グリーンモードカタログ』には、深澤さんが考案したオフィスデザインが、わかりやすい3D画像で掲載されている。

コロナ禍を経て、売上は倍以上になっているというグリーンモード。営業の難しさを感じつつも、まだまだ伸びていく市場だと確信している。

「グリーンは必需品かといったら決してそうではないし、効果は目に見えづらく、数値では表せません。そのためデザインのプランニング段階でキャンセルになることもあります。今後、オフィスでの生産性を上げるために必要なものだと伝えていくことは、ひとつの課題ですね」(深澤さん)

「職場の雰囲気を明るくすることで、生産性のアップだけでなく、離職率の低下にも役立つアイテムです。まだまだ成長段階なのですが、オフィスグリーンといえばグリーンモードと言われるブランドにしたいですね」(河端さん)

Three Focus Storys

  • コロナ禍最大のヒットは「グリーンスタンド」

    コロナ禍最大のヒットは「グリーンスタンド」

    「商品としては以前からあったのですが、コロナ禍以降にヒットしたのは、オフィスの間仕切りや区画づくり、目隠しなどに実用的に使える『グリーンスタンド』です。グリーンをあしらうことで気持ちをリラックスさせ、癒しの効果も期待できます。また、休憩スペースなどに置けば、社員のコミュニケーションにも一役買うと思います」(河端さん)

    グリーンカーテンで仕切る「パネルパーテーション」、足元まで隠せてしっかり仕切れるボリュームのある「BOXプランター」、すっきりとしたデザインの「デザインパーテーション」の3種類がある。

  • 既存のものに簡単にプラスできる商品も人気

    既存のものに簡単にプラスできる商品も人気

    テーブルやキャビネットに飾ってグリーンを演出できるポットを使ったフェイクグリーン「グリーンポット」。「置く場所がない」というオフィスには、既存の備品に取り付けられる商品もある。

    「フェイクグリーンを使ったことがない人にも使って欲しい。そのためには手軽で簡単、ということがポイントになってきます。すでにパーテーションがあるオフィスには、上の部分にフックを取り付けて設置する『パーテーションポット』もおすすめです。フックはパーテーションの厚みにあわせて使える専用のものです」(深澤さん)

  • 目の高さにグリーンを置ける「吊下げポット」

    目の高さにグリーンを置ける「吊下げポット」

    オフィスにグリーンポットを置く場所がない場合は、天井を利用できる商品もある。

    「2023年12月から販売を開始した『吊り下げポット』も好調です。ダクトレールややぐらブースに取り付ければ、目線の高さにグリーンがある立体感のある空間がつくれます」(河端さん)

    他にも壁面上部のデットスペースなどに取り付けるプランター「ウォールポット」もある。

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