匠のモノ語り
VINTAGE BRAND TOKYO インタビュー

リユース品を投資対象に。世界進出を目指す「VINTAGE BRAND TOKYO」の新たな戦略

Text:HIROMI YAMANISHI(HISTOREAL)  Photo:NAOKI HIRABAYASHI 2026.7.15
VINTAGE BRAND TOKYO

リユース・ECサイト「VINTAGE BRAND TOKYO」を運営する、株式会社トリアイナ取締役会長・三浦哲郎氏が、3年ぶり4度目の登場。この間に店舗を銀座へ移転したほか、数々の事業にも参画。店舗の売上額は4倍、利益は前年比130%増となり、グループ全体の売上は500億円を突破した。目標である1,000億円に向け、着々と前進している。努力を重ね、常に計画的に物事を進める三浦会長が50代となった今、世界を相手に勝負に出た。

VINTAGE BRAND TOKYO

日本の中心地・銀座に移転、
売上額は4倍、利益は前年比130%増に

所有物件であった東京・東久留米の店舗ビルを売却し、リユース店「VINTAGE BRAND TOKYO」を高級ブランド店やオフィスが立ち並ぶ一等地・銀座一丁目に移した三浦哲郎会長。店舗の売上額は4倍になったという。

「東久留米の店舗では20~30万円のラインナップが多かったのですが、銀座は日本の中心地ですし、シャネルやエルメスといった200~300万円のアイテムも売れる。銀座のなかでも一番人通りが多い場所ではなく1本奥に入ったこのあたりに来る人は、目的の店がある人がほとんどなんです。店内は『VINTAGE BRAND TOKYO』を目指して来てくれるお客さんしかいないので、ゆっくり商品を見られます。Instagramなどを見てきてくれるインバウンドのお客さんも多いですね」

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独学でリユース業を学んだ三浦哲郎会長は、2011年に株式会社トリアイナを設立し、2012年に取締役会長に就任。リユース店「VINTAGE BRAND TOKYO」と買取サービス「こやし屋」の運営のほか、数々の事業を展開している。YouTube、TikTokなどの動画配信にも出演し、人気を博す。

店舗の売上は順調に伸び、グループ全体の売上は500億円を超えた。2年後には1,000億円の達成を目指しているという。こうした成長の背景には、買取サービス「こやし屋」の好調もある。筆者の自宅最寄りの駅にも「こやし屋」があり、スタッフが駅前でティッシュを配っている姿を見かけることもしばしばだ。

「お店自体の力でどれだけ集客できるかが大事だと思っているので、“泥臭く”ティッシュ配りをしたり、手紙を書いたりして接客に力を入れているんです。ティッシュを配っているのは、全て社員で、『私が査定します』というあいさつも込めています。一度来てくれたお客さんがリピートしてくれるよう、同業店と比べても接客はよいと自負しています。売上を上げるだけでなく、お客さんに喜んでもらえることを社員同士で評価し合う“文化”を持ってやっていますから」

ここ数年、買取サービスを行うライバル会社が増えたのではないか――そう聞いてみると……。

「売上上位の会社が他の会社を買収して、店舗数を増やしているケースが増えているので、会社の数自体が増えているわけではないと思います。買収はフランチャイズオーナーのライバルを増やす結果となるので、トリアイナでは同業会社の買収は考えていません。一次加盟の店に稼いでもらうことが目的なので、強くマーケティングして売上だけを伸ばそうという気持ちはないですね」

『こやし屋』は584(こやし)店舗に増やすことが一旦のゴールだが、現在も着実に店舗数を増やし、目標数達成までの目処は立っているという。

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充実の品ぞろえを誇る「ルイ・ヴィトン」コーナー。状態の良いアイテムが数多く並ぶ。

そんな三浦会長に、前回の取材で語っていた「53歳引退」計画について聞いてみた。2023年8月の取材から約3年。当時掲げていたその目標について尋ねると、返ってきたのは意外な答えだった。

「あれはやめました(笑)。マラソンはゴールが設定されているから、それに向けてペース配分と努力をするじゃないですか。でもゴールに近づいてきたら、もうちょっと先に行こうと思ったりする。リーダーの性分と言いますか、微々たるものではありますが、まわりや経済に寄与するためには、やり続けなくてはいけないなと思い直したんです。自分だけのためならとっくに辞めていたと思います」

リユースを軸としたテック企業を設立し、
海外進出を目指す

常に物事を長期的に考えながらも直近のゴールを決め、そこに向かって一つひとつ実行に移しているという三浦会長。今、一番注力していることは株式会社トリアイナの海外展開だという。

「流通大手グループと組んで、今年7月にベトナムのハノイにラーメン店をオープンさせる予定です。ラーメン店の展開自体が目的というわけではなく、これを足掛かりに事業をフィリピンや台湾などアジア各国へ広げていって、将来的にはインド圏にも展開したいですね」

さらに、その先に見据えるのが、3年後のビジョンだ。

「アメリカの経済圏で勝負したいというのがあるんです。2025年にアメリカ南部・テキサス州ダラスにテキサス証券取引所が設立されたのですが、その構想には経済成長促進の長期的ビジョンが備わっているし、ニューヨーク証券取引所に迫る成長を遂げると僕は睨んでいる。だったらテキサスで勝負したいなと思うんです」

アメリカではリユースを軸としたテック企業(IT・デジタル技術を中核に据え、新たな価値やビジネスモデルを生み出す企業)設立を考えているという。

「リユースと金融を融合したイノベーションを起こす構想は結構前から持っていたんです。今はインフレが起きていて、例えば150万円で買ったエルメスが300万円で売れる時代。価値の上昇するブランド品は投資商材になると思いませんか? アメリカは国民の投資リテラシーも高いので、ヴィンテージ品を投資商材として扱っていったらおもしろいテック企業になるんじゃないかと思っているんです」

前回の取材で語っていた、会食や飲酒を極力減らして体調を整え、脳のパフォーマンスを高める取り組みは、今も続けているという。数々のYouTubeやテレビ番組でも人気を博した三浦会長だが、今後はメディア出演やSNSの活動は減らしていく方針だという。

「もともと承認欲求が強くはないですし、あくまでビジネスのためにやってきたわけですが、新しいことを始めるためには時間が足りないので、メディアやSNSに割く時間も惜しくなってきたんです。海外進出のための英語も、もっと集中して学ばないと身にはつかないですし。とにかく、今、一生懸命生きていますよ(笑)。次に取材いただくときはいろんなことが動いていると思っています」

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1階から地下に降りる階段には、アーティストが制作した「提灯」が明かりを灯す。
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階段を降り切ると、非売品の甲冑ディスプレイが出迎えてくれる。

Three Focus Stories

  • 人気ブランドを中心に約5,000点を常時ストック

    人気ブランドを中心に約5,000点を常時ストック

    人気のシャネルは店舗に入ってすぐの、一番目立つ場所に設置。「在庫は常に入れ替えているので、3か月前のものはありません。以前は3,000点の在庫でしたが、今は5,000点を流動させながら、常時5000点の在庫を確保しています。高額な商品はやはりECよりもリアル店舗で売れますね。海外のお客さんには英語が堪能なスタッフが対応します」

  • リメイク家具を備えた地下室をVIP用に開放予定

    リメイク家具を備えた地下室をVIP用に開放予定

    「銀座に移転してから2年経ちましたが、これまでは地下階にはお客さんを入れていなかったんです。でも、今後はVIPのお客さん用にこちらも徐々に開放していく予定です。外国人のお客さんが多いので、どうしたら外国の方に喜んでいただけるかを家具職人と一緒にデザインを考え、買取した品をリメイクしてディスプレイしています。販売はしていないのですが『買いたい』という声も多いです」

  • 専用棚にヴィンテージウイスキーをディスプレイ

    専用棚にヴィンテージウイスキーをディスプレイ

    地下には日本のヴィンテージウイスキーが、そのために作られたリメイク棚にディスプレイされている。「日本のウイスキーの価格は高騰していくと思っていたので、以前から買い取りには力を入れていて、現在数千本の在庫をストックしてあります。定価10万円ほどだった『山崎』が何百万、何千万になっているものもあります。VIPのお客さんとお酒を飲みながら商談ができたらいいなと思っています。もちろん、店舗でのお酒の販売・飲酒の許可も取ってありますよ」

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