匠のモノ語り
Vintage Brand Tokyo インタビュー

計画通り“適正”な数字を伸ばし、さらなる経営の高みへ「VINTAGE BRAND TOKYO」の2023年の課題

Text:HIROMI YAMANISHI(HISTOREAL) Photo:JUNKO KAKIMOTO(PERSIMMON) 2023.8.21
Vintage Brand Tokyo

リユース店・ECサイト「VINTAGE BRAND TOKYO」を運営する、株式会社トリアイナ取締役会長・三浦哲郎氏。常に近い将来の目標値をつくり、実現してきた三浦会長の2023年は「人の評価と自分の評価の乖離を修正するとき」だと言う。経営の高みへとストイックに突き進んでいる三浦会長と、「VINTAGE BRAND TOKYO」の“今”について聞いてみた。

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メディア戦略はひと段落、
2023年は“制限”をする年

「匠のモノ語り」には3回目の登場となる、株式会社トリアイナ取締役会長・三浦哲郎氏。約1年ぶりにお会いした三浦会長はエネルギッシュな雰囲気はそのままだが、少しシャープにスリムになったように見える。

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「お酒を飲むのをやめて、食事もきちんと栄養学に基づいて摂っています。あとはウォーキングを1時間、ジムで運動を1時間するのが日課。脳のパフォーマンスを上げるためです」

自らをストイックに追い込んでいるのは、以前から明言していた自身の「53歳引退計画」を実現するためだと言う。

「あと5年もないので、『今トップギアを入れてやらなくてはならない』という思いです。経営者としてもう一段上のステップに進むには、思考力を上げたいのと勉強する時間が必要です。会食に行ってお酒を飲むと時間も取られるし、パフォーマンス力も落ちる。だから2023年は、制限をする年だと思っています」

確かに2022年の三浦会長は、人気ユーチューバーやカリスマ経営者とコラボレーションを積極的に行い、「鑑定士」のイメージを変えるメディア戦略を積極的に行ってきた。しかし、起業家になりたい人のプレゼンテーションを、投資家となる審査員がジャッジするYouTube番組「令和の虎」の出演は昨年で引退。2023年のメディアの露出は控えめになっているようだ。

「『令和の虎』は、始めたときから1年で引退することは決めていました。2021年は自分の中で『インフルエンス力をつけよう』と言うのがテーマで、YouTube、TikTokなどに出演することで、たくさんの方々と交流させていただきました。その上で今、自分にプラスになるつき合いというのも精査されてきた。打算的と思われるかもしれませんが、今は必要なつき合いのみに絞り、自分を追い込まなくてはいけない時期だと考えています」

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VINTAGE BRAND TOKYOのおすすめアイテム①
「LOUIS VITTON」ジャケット ウィズ・ドッグパペット
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VINTAGE BRAND TOKYOのおすすめアイテム②
「LOUIS VITTON」エクリプス ゴルフバッグ
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VINTAGE BRAND TOKYOのおすすめアイテム③
「ベルルッティ」キャリーバッグ

世間の評価に自己評価を追いつかせる、
“修正”をかける

株式会社トリアイナが運営するリユース店・ECサイト「VINTAGE BRAND TOKYO」は、コロナ禍でありながら2020年から2021年で売り上げは驚異の210%アップ。2021年から2022年はその1.5倍に。そして2022年から2023年の売り上げ率は前年比の1.2倍だと言う。前回の取材で掲げていた、自身のYouTube登録者数の3万人は現在5万人強に。運営する買取サービス「こやし屋」のフランチャイズ店舗の数も着実に伸びているが、それは「適正な数字の上がり方で計画通り」だと三浦会長は言う。それほど順調な今、自らを追い込んでいる理由は何なのか?

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背景に見えるのは、ヴィンテージのコレクション。「VINTAGE BRAND TOKYO」に併設されたカフェには、1920年代〜1940年代アメリカの貴重なコレクションが展示されている。

「僕は子どもの頃から『頭がいい』と言われてきたんですが、自分では今まで一度もそう思ったことはない。常に“自分の能力よりも他者の評価が高い”んです。そこに違和感を感じると、いつも『修正をしなくては』と。『俺はこんなにできるのに、世間が評価してくれない』と思ったことは一度もない。皆さんの想像と自分の実態の乖離を埋めなくてはと思うんです」

それでは今、その乖離を埋めて三浦会長が成し遂げようとしていることは具体的には何なのか?

「1年間インフルエンス活動に注力してきたので、その時間の分だけ経営能力は上がらなかったと思っているんです。僕はまだまだメタバースやNFTの知識が不足している。この先はリユースもNFT化が必要だと思っているので、今それを学ぶことを強化しています。前回お話したように、引退するまでに企業価値1000億円を目指しているわけですが、そこに近づくための組織をつくらなくてはならない。そのために初任給2000万円、ストック・オプション付きで超エリート社員を募って事業を完結させるプランはできているんです。メンバーは10人にしたいんですが、僕を入れて4人は既に決まっています」

常に数字を出して、“適正”にこだわっている三浦会長。自身のDMなどに頻繁に来るという、「どうやったら成功しますか?」という質問への答えとしてこう語る。

「実は個々の能力の差って、ほとんどないと思うんです。成功するには、どの領域でどういう取り組みをするかが大事。僕は13年前にリユース業界に入って、“適正”な取り組みをしてきたから今がある。適正な取り組みからズレてきた、と思ったときは立ち止まる。そのタイミングは世間の評価が自分の評価を大きく上回っていると感じたときにきます。そこで一度、自分に制限をかけて修正していく。それは僕が今までにずっとやってきたことです」

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1975年生まれ。2012年に株式会社トリアイナ取締役会長に就任。2021年より「鑑定士ミウラ会長」として、YouTube、TikTokなどの動画配信にも出演、人気を博す。2023年公開の映画「魔女の香水」では鑑定士役として出演。また2023年7月「リユースマーケットのポテンシャルを伝えたい」という思いを込めた著書「37兆円の地図」(ゴマブックス)を上梓。会長の映像が飛び出す、世界初の3D QRコード付きも大きな話題を呼んでいる。

Three Focus Storys

  • 近年「シャネル」のヴィンテージアクセサリーが人気

    近年「シャネル」のヴィンテージアクセサリーが人気

    現在店舗のショーケースには、ピアス、ネックレスといったシャネルのアクセサリーが充実している。

    「ヴィンテージ風デザインのアクセサリーを新作でリリースしたこととK-POPのアーティストが身につけていることから、シャネルのアクセサリーの人気が高まっています。それに併せて、1990年代のアクセサリーを手放す人も増えているようです。30年前の価格より高くなっているものも多く、中には倍以上になっているものも。最近は1992年から1995年くらいのものが、多く流通しています」(販売事業部/宿利智美さん)

  • 厳しく設けた品質基準で「楽天」のレビュー4.98の高評化

    厳しく設けた品質基準で「楽天」のレビュー4.98の高評化

    2022年末から「ワールドスイッチ」を導入し、複数のモールに同時に出品できるようになり、出品数もそれまでの3倍になったというECサイト。

    「まずは“お客様第一”で、カスタマーサービスへのお問い合せでは迅速で的確な返答を心がけています。そして徹底した商品管理のもと、出品する商品には厳しい基準を設けています。出品する商品の写真を細かく撮影し、説明文もわかりやすく入れてサイトにアップしているので、商品が届いてから『思った以上に商品がキレイだった』と言うお声もよくいただきます。そのおかげか『楽天』のサイトでは、レビューで『4.98』の高評価をいただきました」(販売事業部/宿利智美さん)

  • オリジナルマガジンは好評につき第3弾を配布中

    オリジナルマガジンは好評につき第3弾を配布中

    2022年から始まったオリジナルマガジン『VIBRATO』は現在、第3弾を配布中。

    「“売る”ほうに関してはもっとオンラインのPRを強化せねばならないと思っていますが、中にはQRコードも載っていますし、“買う”ほうは『アナログ』のほうが効果がありますね。『こやし屋』のお客さまにもLINEでお礼を送るよりも、手書きのメッセージを添えたことによってリピートしてくれることも多いんです。この時代だからこそアナログにこだわりたいと言うのもありますね。少数なことは価値が上がるからこそ、今やっておきたいというのもあります」(三浦会長)

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