匠のモノ語り
VINTAGE BRAND TOKYO

どこよりも高品質、低価格。リユース業界に改革を起こす

Text:HIROMI YAMANISHI(HISTORE AL)Photo:JUNKO KAKIMOTO(PERSIMMON) 2021.7.15
VINTAGE BRAND TOKYO

コロナ禍において、売り上げを前年比の“倍”に伸ばしたという、リユース店「VINTAGE BRAND TOKYO」。その成長の裏では、常に先を読みアクティブに行動してきた、会長の采配があった。進化し続けるこの店のロジックを紐解く。

VINTAGE BRAND TOKYO

コロナ禍で、売り上げが210%アップ

人気YouTuberヒカル氏とのコラボ企画「ヒカルの買取鑑定団」に鑑定士として出演中の、ECサイト「VINTAGE BRAND TOKYO」を運営する、株式会社トリアイナ 取締役会長・三浦哲郎氏。

「YouTube出演の反響はあります。ヒカルさん関係のユーザーも利用してくれるようになりましたし、リユース業界最大のイベント『リユースサミット』の講師の話も来ています。近年この業界内での転職が増えているのですが、おかげで今力を発揮しているいい人材が集まってきていますね。採用は会社の成長につながるので、こうやって業界で目立つことも意味があると思っています」と三浦会長。

株式会社トリアイナ 取締役会長・三浦哲郎氏
マネージメント、戦略、ファイナンスなどの全てに携わる、三浦会長。10年間デザイン業に関わったのち、独学でリユース業について学び、2010年に鑑定士の派遣会社をスタート。2011年に株式会社トリアイナとして展開。

2011年にスタートしたトリアイナの社員は約30人、10周年となった2021年現在では約400人が在籍する。2020年から続くコロナ禍では、なんと売り上げが210%アップしたという。その理由は何なのか?

「2020年から急成長している、ライブ配信とECを掛け合わせた“ライブコマース”の方向に攻めたことですね。YouTubeの影響もあって、信用できる良いライバーさんも集まってきていますし、この1年で急激に商品量は増えています」

「VINTAGE BRAND TOKYO」では、常に3000点あまりの商品をキープ。状態のいい商品が、他店と比べても2〜3割安い状態で販売できるという。

「VINTAGE BRAND TOKYO」のショーケース
人気アイテムも他店より2~3割安い価格で販売

「当社の在庫は常に入れ替えているので、3か月前のものはないんです。3000点流動させて、3000点在庫させている状態。長い間同じものを在庫していても売れないので、流通サイクルは45日と決め、質の良い商品をアクティブに動かして、飽きさせない取り組みをしています。

低価格も流通量が多いからこそできること。例えば、10万円の商品に10万円の利益を出すには20万円で売らなければならない。でも、1000円の利益を出すものを100個売れば利益は10万出ますよね。薄利多売をすることも弊社の取り組みです」

リユース業界の中で一番高給な会社を目指す

真っ白なジャケットを颯爽と着こなす、三浦会長。リユース業界に入る前には、1個の商品を持ってリユース店舗を何店も回ってヒアリング、合わせて文献などを読み込み独学を重ねた努力家だ。

三浦哲郎氏
身につけているものは、だいたいこの店で買っているという三浦会長。「ブランド名にはこだわりはなく、いいと思ったものを衝動的に買っています。常に直感で動く僕に、スタッフはよくついてきてくれていると思います(笑)」

「リユースに関わって10年以上が経ちますが、まだまだ日々勉強中です。ベンチャーは“成長している”感じがおもしろい。個人が勉強、成長して会社規模が大きくなる、スタッフにも学びながらお金をもらえる感覚でやってもらえたらと思っています。

僕は企業価値とは、労働者の賃金ではないかと思っていますね。極端な話、純利益が“0”でも働いているスタッフ全員の年収が1000万なら、いい企業じゃないですか。税率が同じなら労働者に配当したほうが会社の成長は早いと思っているので、僕はリユース業界の中で一番高給な会社を目指しています」

小学校1年の時に埋めたタイムカプセルの中の将来の夢には「経営者」とすでに書いていたという、三浦会長。25歳で企業してからは、常に計画的に事業拡大を実践してきた。

「僕が死ぬまでの事業計画はもうしてあります(笑)。諸事情で少し遅れていますが、近い将来売り上げ100億の達成を予定しています。あとはフランチャイズ店舗1000店舗の展開を考えています。今はまだ“0”なので、無茶苦茶なことを言っていると思われるかもしれませんが、実現できるやり方があるんです。日本最短で実現しますよ。3年後を楽しみにしていてください!」

Three Focus Storys

  • ECサイトの画像は徹底的に実物に近づける

    VINTAGE BRAND TOKYO

    店舗での売り上げをサポートすべく、ECサイト「VINTAGE BRAND TOKYO」を立ち上げたのが、約5年前。店舗に入荷した商品は、ECサイトにも同時出品している。「ECサイトに出品する際に、特にこだわっているのは画像です。リユース商品ということもあり、できるだけ実物に近くなるように徹底しています。あとはサイトをご覧になったお客様から『この部分をもっと見たい』というご要望があった場合、すぐに写真に撮って商品ページに追加します。また、当社は専門鑑定部署がOKしたものを、しっかりクリーニングしてから出品しているんです。ECサイトのレビューには『思ったよりもずっと実物がよかった』というお声も多くいただいています」(販売事業部/宿利智美さん)

  • 鑑定士育成事業もスタート

    VINTAGE BRAND TOKYO

    1000円の古着から、1億円の美術品まで、あらゆる古物商品が流通しているにもかかわらず、民間資格の「宝石鑑定士」「中古車鑑定士」以外は、資格らしい資格はなかったリユース市場。そこで、三浦会長が準備を進めているのが鑑定士の養成スクール運営、古物鑑定士資格の人材育成を行う「アイジョブ 東京鑑定士学院」だ。「商品知識、本物と偽物の見分け方などの座学を教えていきます。同業者の方の社員の再教育などにも役立てていただけるかと。そうすれば業務提携も組めるようになるし、メリットもあると思っています」(三浦会長)

  • “将来性”のあるリユース品の購入がおすすめ

    VINTAGE BRAND TOKYO

    約3000点の商品を45日周期で流動している「VINTAGE BRAND TOKYO」。「当社の商品は基本的には、全部“売れ筋”ですよ。ブランド品の流行の移り変わりは早い。その流行を前もって察知して、人気のある商品に入れ替えるのが当社の役目です。ですが、これからリユース品の購入を検討されている方は、将来性のあるものを購入することをおすすめします。読者のみなさんの世代なら、ロレックスの時計などは、購入されたときよりも高く売れる可能性が高いです。商品の将来性はスタッフに聞いていただければお答えしますし、価格レートが調べられる便利なサイトも活用するといいと思いますよ」(三浦会長)