全国240店舗とECサイトで、国内外のブランドはもちろん、オリジナルブランドなど幅広い腕時計を取り扱う、時計専門店ザ・クロックハウス。1970年代のプロダクツからインスパイアされたオリジナルの「タウンカジュアル」シリーズは、“ナツカアタラシイ”とその時代を知らない若い世代にも好評だ。専務取締役の大田弘之さんにその開発背景と魅力、そしてこれからの腕時計のあり方について、語ってもらった。
1971年に創業、2022年現在、全国に240店舗を構える時計専門店、ザ・クロックハウス。約20年前からは、オリジナルブランドの企画から販売にも乗り出している。
「20年前はアパレルを中心に、メーカーが企画、開発、製造、販売までを行う“SPA”が導入され始めた頃。自社製品を自前の小売店で販売するこの方法で、弊社でもオリジナルブランドをスタートさせたんです」と、専務取締役の大田弘之さん。
顧客の最大のメリットである「価格」と「価値」について真剣に考え、企画、開発したというオリジナルブランドは3つのこだわりを持っている。
「①リーズナブルであること、②コストパフォーマンスが高いこと、③トレンドにのっていること。洋服に合わせて、靴やアクセサリー、メガネを変えるように、“毎日きがえるWhist Wear”を新しいライフスタイルとして提案しています」
ザ・クロックハウスの時計のデザインは大きく分けるとスーツに合わせる「ビジネスフォーマル」、ジャケパンなどに合わせる「ビジネスカジュアル」、休日用のリラックスしたカジュアルスタイルに合わせる「カジュアル」の3種類。そのカジュアルの中でもレトロテイストを取り入れた時計として、打ち出したのが、オリジナルブランド初のデジタルウオッチである「タウンカジュアル」だ。
「ここ数年、レトロブームが起こって、若い世代の方々にアナログレコードやカセットテープ、フィルムカメラなどが支持されています。そこで1970年代のプロダクツからインスパイアされた商品を作りたい、ということで生まれたのが「タウンカジュアル」ウォッチ。テーマは“ナツカアタラシイ” “GO TO 70s”で、『オクタゴン型』『トノー型』『ラウンド型』の3つのケースデザインがあり、それぞれブラック、ホワイト、グレーの3色のラインナップがあります。全モデルが税込9,900円になっています」
現在全国に240の店舗を持つ、ザ・クロックハウスが本格的にECサイトの運営を始めたのは2018年。
「一番商品数の多い店舗で1200種類、少ない店舗では500種類の腕時計を取り扱っています。でもECサイトでは2400種類を取り扱うことができる。選べる商品がたくさんあって、インターネットさえつながれば、どこでも購入できる。これはECサイトならではのメリットだと思っています」
そう語るように、ザ・クロックハウスはこのコロナ禍においても、ECサイトでの売り上げは善戦していると言う。しかし、それは「実店舗があってこそ」と大田さんは強調する。
「2016年のアメリカのシンクタンクの調査では、ECサイトで商品を購入した人の75%が、その前に実店舗で商品に接触しているという結果が出ているそうです。弊社のECサイトのレビューにも『実店舗のスタッフの対応がよかったから、ECサイトで買いました』というお声も多いんですよ。ECサイトでは、手首のサイズをお客様ご自身で計っていただいたものを元にサイズを調整して送っているのですが、ぴったりはまらないこともある。そういう場合は、お近くの店舗でサイズ調整できます。
弊社でもECサイトで購入されたお客様の3〜4割が、実店舗と関わっていることがわかっています。ECサイト、実店舗、それぞれのよさを1社で提供できるというのは、弊社の強みだと思っています。時計は頻繁に買うものではないけれど、“買い方が変わった“というお客様のお声も届いています」
ザ・クロックハウスの新機軸として、好評な「タウンカジュアル」。他にもソーラーシリーズや、ヘッドとベルトが付け替えられるカスタマイズウォッチも好調だ。
「今はほとんどの人が携帯電話を持っているので、時間だけを見るなら究極それでいいのかもしれない。でもこれからは腕時計を、ファッションのひとつとして使い分けてもらえるようになればいいな、と思っています」
“ナツカアタラシイ”70年代テイストを手元に。腕時計を毎日着替えるファッションアイテムへ