匠のモノ語り
フープディドゥ インタビュー

革新的で履きやすいシューズをメンズの世界にも。『フープディドゥ』のものづくり

Text:MIKA KAGEYAMA  Photo:NAOKI HIRABAYASHI 2026.8.17
フープディドゥ

『フープディドゥ』は、加藤冨士逸(ふじいつ)という一人の改革者から誕生したメンズの靴ブランドだ。「街にはイケてるオヤジが履く靴がない」と孤軍奮闘。1987年には「楽しくやろうぜ!お祭り騒ぎ!」の意味を持つ、「whoop’-de-doo’」という言葉を冠した会社を、東京における靴作りの聖地・浅草に設立した。

「コンセプトがないのがコンセプト」というアティテュードを貫いてきた冨士逸の遺伝子を受け継ぎ、ますます進化する『フープディドゥ』は、2027年に創業40周年を迎える。冨士逸の直弟子としてその薫陶を受け、現在はデザイナーとして全アイテムのディレクションをしている、長岡祐太朗さんに、会社の歴史と“いま”について話を聞いた。

フープディドゥ

保守的なメンズ靴の世界にはなかった、
新しい発想の靴を

1987年の会社設立直後から、革新的なデザインの靴を次々に発表し、メンズの靴業界に革新をもたらした『フープディドゥ』。いつ行っても新しいデザインが並ぶアパレルのように、“四季がある靴店”というのも、保守的な業界では非常に先鋭的な存在だった。しかし彼らの真価は奇抜さや目新しさなどではない。本当に履きやすく、クオリティの高い靴として評価されたことが、売れ行きに結びついてきたのだ。

フープディドゥ
長岡祐太朗さん、株式会社フープディドゥ 商品部企画主任。「高校時代は、バリバリ野球部で坊主頭でしたが(笑)、ファッション、特に靴に興味を持つようになってこの世界へ。創始者の加藤冨士逸からは、“いくら面白いデザインを描いたところで、ものとして上手く形にならなければ、何の意味もない”ということを教わりました」

「先代社長の冨士逸は、もともと靴屋の家系に生まれたということもあって若い頃から靴業界に身を置いていました。世界の一流の製品をバイイングして日本に紹介してきた実績もあるし、自分の発想したデザインを実現してくれる工場をイチから探して開拓し、仲間を増やしてきたという蓄積もある。だからこそ、工場や職人さんとのつながりも非常に強くて。破天荒に見える発想でも、実は深みがあってしっかりと筋が通っていたし、それをきちんと形にできる技量や人脈もあったんです」(長岡さん)

先代がたびたび口にしていた言葉が「やっぱぶっ壊してーよな」といった、いわばパンクでロックな気概は、今の会社にもしっかりと生きていると言う。

「長年培った工場や職人さんとのつながりや浅草という地の利も、なかなか他社に真似できるものではない。この会社だからこそできる“ものづくり”があると思いますし、亡くなる直前までデザインを手がけ、新しい発想をしていた先代の働き方を間近で見ることができたのは、自分にとって大きな財産になっています」

「靴の悩みが解消した」という喜びの声も

長岡さんは現在、9つある『フープディドゥ』の全ラインのデザインを担当。サンダルからスニーカー、ドレスシューズまで、毎シーズン30型以上を企画し、工場やメーカーとタッグを組んで、商品化していく。お客さんは長年ファンでいてくれる人が多いという。

「インパクトのある靴づくりや、独特のワクワク感を魅力に感じてくださる方が多いようです。また、サイズ感や足入れの良さ、履きやすさの面でも高く評価してくださる方が本当に多いですね。実際に靴の悩みを抱えていた方から、『履いてみたら他と全然違った』『最初から足に合った』という喜びの声をいただくこともあります。

欧米の靴はどうしても骨格やくるぶしの高さなどの想定が全く違うので、靴擦れが起きやすいし、足の収まりが悪いことも多々ある。また、S・M・Lといった大まかなサイズ展開の靴を履いて歩くことで、足を傷める人もいます。けれども私たちは、日本人の足の形に合う木型や数値の蓄積がありますし、ハーフサイズ刻みで緻密にものをつくる、ということをやってきています。そういった、うちにとってはごく当たり前のことが、ブランドの特長になってきているのかもしれませんね」

フープディドゥ

「創業者の冨士逸は、“コンセプトがないのがコンセプト”だと、よく口にしていましたが、私の場合は、“こだわりがないのがこだわり”と言えるかもしれません。それはものづくりにこだわりがない、という意味ではなくて。デザインだけにこだわってしまったり、クリエイションに固執してしまうことで、ものづくりがおろそかになるのは違うのではないか、という意味です。靴を作ってお客様に届け、満足していただくためには、我々の会社と各メーカーや工場などとのつながりが必要。自分の役割は突き詰めるとその架け橋になることなのかな、と考えています」

木型のカーブひとつ、かかとのシェイプひとつ取っても、足入れが変わってきてしまうのが靴作りの世界だ。

「もちろん、全ての方の足に必ず合うという靴はないですし、デザインとの両立となるとますます難しい。けれどもおしゃれさと機能性、どちらが欠けても面白くないし、洗練されすぎても面白くないと僕は思うんです。『フープディドゥ』らしさ、ブランドらしさとは何かを出していくために、常にお客様の意見を取り入れつつ、突き詰めていきたいなと思っています」

直営店、ネット通販での丁寧な対応が実を結んで
数々のヒット作が誕生

Three Focus Stories

  • 独自の企画力と蓄積されたノウハウで、
    デザイン性と履き心地の良さを両立

    独自の企画力と蓄積されたノウハウで、デザイン性と履き心地の良さを両立

    1987年のブランド誕生以来、「コンセプトがないのがコンセプト」という自由な発想のもと、流行に流されないオリジナリティのある靴づくりを続けている。年間100型以上の新作を企画し、他にはないデザインを提案。また、長くものづくりを続けてきたブランドならではのノウハウを活かして、日本人の足にあう靴作りを実現させている。

  • ライフスタイルの変化に合わせた新しいジャンルも提案

    ライフスタイルの変化に合わせた新しいジャンルも提案

    見た目の美しさだけでなく、木型や素材選びにもこだわり、長時間履いても快適な履き心地を追求している『フープディドゥ』。ドレスシューズとスニーカーの中間のような、現代のライフスタイルに合った靴を展開、新たなヒット商品へと導いている。また、伸び盛りのブランド『Comfy Shaborn』は、驚くほど軽い造りに加え、歩きやすさを追究するなどで、高い評価が集まっている。

  • ネット通販への細やかな対応が高評価に

    ネット通販への細やかな対応が高評価に

    日本有数の靴産地である浅草を拠点に、長年培った職人や工場とのネットワークを活かした商品開発を行うなど、人と人とのつながりを大切にしている。楽天・自社ECでのネット通販でも同様で、商品自体の魅力もさることながら、きめ細かい顧客対応に取り組むことで高評価を獲得。靴の通販は難しいというジンクスを打ち破り、新規顧客やリピーターを獲得している。

『フープディドゥ』のものづくりラ

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革新的で履きやすいシューズを
メンズの世界にも。
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