匠のモノ語り
VENEX公式 楽天市場店 インタビュー

 “休養を纏う”という新しいライフスタイル ベネクスが生み出す、リカバリーウェアの魅力

Text:HIROMI YAMANISHI(HISTOREAL) Photo:NAOKI HIRABAYASHI 2025.9.17
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多忙な現代人から注目を集めている「リカバリーウェア」。手間をかけずに着て休むだけで疲労を回復できるアイテムとして、今や高い認知度を誇る。その火付け役となり、休養をとことん追求して商品開発を続けているのが、2025年に創業20周年を迎える神奈川県厚木市の株式会社ベネクスだ。

「着て休むだけで、身体が深く休まる」。そんなシンプルで革新的な体験を科学とクラフトマンシップの両輪で形にしているが、ここに至るまでの経緯と、2030年には14.1兆円にまで拡大する試算があるというリカバリー市場の未来について、ベネクス代表の中村太一さんに聞いた。

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疲労回復に効果が期待できる糸を考案
「床ずれ解消マット」から始まった

「人間が本来持っている自己回復力を最大限に発揮させること」をコンセプトに「リカバリーウェア」を開発した、株式会社ベネクス。創業は2005年。創業者である中村太一さんが、コンサルティング会社で学んだノウハウを生かして、“床ずれ”を解消する介護用マットを発売したことに始まる。

「父親が健康関連の事業を営んでいた影響もあり、大学卒業後に3年間社会に出て勉強したら起業すると決めていました。就職したコンサルティング会社では有料老人ホームの新規立ち上げなどを担当していたことから、父親の会社のスタッフで元々顔見知りだった2人を誘って、25歳のときに3人でベネクスを立ち上げました。

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中村太一さん。株式会社ベネクス・代表取締役。神奈川県小田原市出身。大学卒業後にコンサルティング会社に入社し、有料老人ホームの新規立ち上げや入居者の募集営業などを担当。3年勤務し退職した後に、2005年9月、「クリエイティブ(Creative)」と「ネクスト(Next)」を語源にした、株式会社ベネクスを設立。「静的休養だけではなく、動的休養も大事だと思っているので、休日は非日常の体験をして休養しています。夏はサーフィンやカヤック、祭りで御神輿を担いだりしています」

床ずれの原因である血行障害を緩和するには、血流改善を促すのが効果的。そこには自律神経の働きが関わっていることを知り、皮膚に優しい刺激を与えることで副交感神経が優位になるという結論にたどり着いたんです。そこでマットの布の表面に、疲労回復をサポートしてくれる“ナノ素材”などの鉱物を繊維に入れ込めないかと考えたんです」(中村さん)

その後、有識者に相談しながら全てを独自で学び、ナノプラチナなどの鉱物を含む独自素材「DPV576」を練り込んだPHT繊維を開発。そうしてつくった新素材で、2007年5月に床ずれ解消マットを完成させた。

「コンサルティング会社時代に付き合いのあった介護施設で実際に使用してもらうと、みなさん『床ずれが緩和された』と言ってくれ、好評だったんです。ですが、高額で保険も効かない商品だったので、全く売れませんでした。粘ってはみたけど諦めるしかない状態になりつつあり、糸は大量に余ることに……。でも、素晴らしい糸である自信はあったので、それでウェアをつくってみたんです」

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大手ジムのバイヤーから広まり百貨店でも展開
名称は「ケア」から「リカバリー」へ

2008年2月に開催された展示会の“身体を癒す”コーナーに、介護マットを出展したときのこと。余った糸でつくったウェアを、介護士の疲れた体をいたわる「ケアウェア」として片隅に展示したことで、運命が変わっていく。

「その展示会に大手スポーツジムのバイヤーの方がいらして、このウェアに興味を持ち、サンプルを持って帰られたんです。その後の連絡によると、毎日のトレーニング後の体が、このケアウェアを着て寝たら全然違ったと。そこから、その大手ジムから発注をいただけるようになったんです」

ジムの売店で販売するようになったケアウェアだが、そこで爆発的な売上を記録する。そして、思わぬ方向に話が広がっていった。

「『△△ジムですごく売れているウェアがあるらしい』という評判を聞いた大手百貨店のバイヤーさんからご連絡をいただいたんです。考えてみると、そのジムのお客さんは大手企業の社長や役員の方が多い。そういう方が洋服を買うのは大手百貨店ですよね。そこで噂になっていたようで(笑)。その後、ショップ・イン・ショップという形で展開させていただくようになりました。そこから急速に広まり始めたんです」

当初の名前は「ケアウェア」だったが、この大手ジムバイヤーの言葉をヒントに、名前を変更することになる。

「バイヤーの方が『運動にはリカバリーが大事だ』とおっしゃったんです。『なるほど、リカバリーか』と。そして、その言葉を名称とさせていただきました」

2025年で創業20年を迎えたベネクス。2010年頃に開始したECサイトでの売れ行きも好調で、現在では売上の半数はECサイトからになるのだそう。そして、中村代表が2015年に立ち上げた「一般社団法人 日本リカバリー協会」によると、2025年現在約8兆円とされるリカバリー市場は、2030年には14.1兆円にまで拡大する試算があるのだそう。

「2009年に『リカバリーウェア』を発売した当時、“リカバリー”という言葉はパソコンなどの修理用語くらいでしか聞かない言葉でした。でもここ10年でウェアをつくる同業他社だけでなく、“リカバリー”と名がつくたくさんの商品やサービスが増えました」

創業から20年。積み重ねた研究とエビデンスは、いまや健康づくりの第三の柱“休養”を世に広める大きな力となった。「着て休むだけで、身体が深く休まる」。そんなシンプルで革新的な体験を、科学とクラフトマンシップの両輪で形にしている。

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「我々はアパレル会社ではなく『休養を推進する会社』という意識が強いんです。リカバリー市場をもっと拡大し、休養することで元気になってほしい、そしてハッピーな世の中にしていきたい。パジャマやスーツのように、リカバリーウェアがひとつのカテゴリーとしてみなさんに認識されるようになるまで、頑張っていきたいですね」

ベネクスが提案するのは、単なるウェアではない。“休養を纏う”という、新しいライフスタイルそのものだろう。

Three Focus Storys

  • 試作を繰り返して品質の安定を実現

    試作を繰り返して品質の安定を実現

    「ナノプラチナなどを含んだ『DPV576』を樹脂に入れ高温で融解して、よく混錬します。固まった後に約6mmの粒状にカットし(写真右)、この粒がPHT繊維の元になります。これをポリエステル樹脂と再度混錬し、繊維にします(写真中央)。繊維を複数束ねて糸にします(写真左)。糸は、一般的に大手合繊メーカーさんがつくるものなのに、一から自分たちでつくろうなんて、今考えれば無謀だったと思います(笑)。何も練り込まない通常のポリエステルよりも繊維が切れやすいので、何度も試作を重ねて品質の安定を実現させました」

    試作を繰り返して品質の安定を実現
    VENEXリカバリーウェアは、全国各地の協力工場とともにつくりあげている。写真:KAJI GROUP(石川県)
    試作を繰り返して品質の安定を実現
    縫製工場の様子。国内工場で生産することで密でクイックなコミュニケーションが可能になり、日々改善を重ねるモノづくりが、ベネクス製品の高い品質を実現している。写真:キンボー株式会社(石川県)
  • ドイツ開催の見本市で日本初の最高賞を獲得

    ドイツ開催の見本市で日本初の最高賞を獲得

    「ベネクスのリカバリーウェアは、さまざまな分野や専門機関からたくさんの評価や認可、認定をいただいています。海外展開のきっかけとなったのは、ドイツで行われる世界最大のスポーツ用品の見本市『ISPO(イスポ)』の新商品コンテストで、日本企業として初の最高賞『GOLD WINNER』をいただいたことです(写真・中央)。誰もが運動中のウェアにこだわっていたのに、『運動後のウェアを科学的なエビデンスを元につくったのはすごい』と評価をいただきました。現在はドイツ、中国、台湾で販売していますが、今後はもっと世界に広げていきたいですね」

  • 用途に合わせた、さまざまなタイプがラインナップ

    用途に合わせた、さまざまなタイプがラインナップ

    「移動中の有名アスリートの方々がベネクスのウェアを着てくださっているのを、テレビなどでよく見かけます。私が仕事で移動する飛行機でも、一般の方で着ているのを見かける機会が増えました。リカバリーウェアを着るとリラックスしやすい状態になるので、ぐっすりと眠れます。長く乗り物に乗られるときは、その名の通り移動を意識して開発した『リカバリームーヴ』がおすすめ。普段の就寝時に着るのであれば、乾きの早い『スタンダードドライ+』、普段着として着られるのならば、デザイン性の高い『リカバリーデイズ』がおすすめです」

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