1929年に徳島県で創業し、一世紀の歴史を誇るブランド正規販売店「HARADA」。豊富な品揃えに加え、温かなサービスと安心のアフターケアによって、地元・近隣客はもちろん、「西のHARADA」として全国の時計通にその名を轟かす。2023年には新店舗がグランドオープン。楽天市場への出店は2024年から開始したが、瞬く間にトップクラスの評価を得ているという。その理由を取材すると、100年変わることのない、ユーザーへの真摯な思いがあった。
2023年、徳島市の中心部を走る幹線道路沿いに新店舗を構えた「HARADA」。海外のハイブランドのブティックを思わせる、総ガラス張りのデザインが目を引く。
「当店は、“伝統をつなぎ、変化に挑戦する”というミッションを掲げていますが、徳島県には百貨店が無いので、地元のお客様に贅沢感のあるお店で、特別なお買い物をご堪能いただきたいという思いと、100周年に向けての象徴として、新店舗をオープンしました」と、三代目の原田吾朗社長は話す。
1929年、原田社長の祖父である初代が、地元商店街の一角に時計・宝飾・眼鏡店としてHARADAを創業。
「進学や就職などのお祝いの腕時計を求められたり、結婚指輪をおつくりしたり、購入後は時計の電池交換やジュエリーのお手入れなど、お客様の人生の節目、毎日の暮らしに寄り添ってきました」(原田社長)
いわゆる「まちの時計屋さん」として愛されつつ、高度経済成長期やバブル期など、時代とニーズの変遷に合わせてラインナップを拡大。原田社長は、スイスで開催される宝飾・時計展覧会「バーゼル・ワールド」や「ジュネーブサロン」をはじめ、世界各国のブランドに足を運び、数々の正規販売店認定を獲得した。
「百貨店や首都圏の店舗ではないものの、当店の歴史や姿勢が海外ブランドにも響いたのでしょう。私としては、ブランドの増加によって、さらに多くのお客様に出会えることのほうがうれしかったです」(原田社長)
何よりもお客様のために――。この思いを示すようにHARADAでは、アフターケアに最も力を入れているという。
「初代の言葉である『確かなことは安心』が、HARADAの理念です。時計は決して安い買い物ではなく、親御さんの時計を受け継いだり、手元で時を刻み、人生の多くを共に過ごしたりと、かけがえのない存在でもあります。それが故障などで二度と使えなくなると、思い出まで失われることになるので、私たちは全力でお直しするのです。これが『HARADAなら安心』と信頼いただいている最大の要因でしょう」(原田社長)
歴史があり、実績もある店舗ながら、HARADAのEC進出はごく最近だ。4年ほど前にスタッフの一人、藤本康史さんがネット展開を提案したことからECチームを組織。自社のECショップでノウハウを培った後、満を持しての楽天市場出店になったという。
「藤本はインターネットやガジェットに詳しいうえ、商品の見せ方、キャンペーンなどの打ち出し方などをユーザー目線で追求していくので、お客様にも好評をいただいています」と、チームの一員としてEC運営を担当する松下 純さん。その証として、高額商品にも続々と注文が入り、「グランドセイコー」と「シチズン」が実店舗を含め日本一の売上を達成。「グランドセイコー」においては、徳島に流れる吉野川をイメージしたHARADAオリジナルモデルの特別販売が決定した。
楽天市場での成果に原田社長は驚いたが、藤本さんと松下さんには、成功する確証があった。それはもちろん、HARADAが100年築いてきた「安心と信頼」である。
「実店舗でもECでも、かけがえのないお客様です。接客もアフターケアも充実させ、同様の価値をお届けしています」(松下さん)
実店舗の販売チームとECチームが連携していることも、HARADAの特徴だ。
「実店舗での売れ筋商品やお客様からのご質問などは、ECチームにフィードバックします。また、楽天市場店からのお問い合わせには、店舗チームが写真を撮影して返信したり、電話やオンラインで直接お話ししたりすることもあります」と話す、店頭スタッフの米山和宏さん。ECにおいても、このような“リアルな接客”がユーザーの安心材料になっているのだろう。
「先日、楽天市場店をご利用いただいたお客様が、四国旅行の行程として、新店舗に来店してくださったことには本当に感動しました」と、松下さんと米山さんは双方のサービスのさらなる充実を誓う。
「ECを機に、HARADAはより強く結束した船団になりました。全国のお客様のもとへ、100周年に向かって良い船出ができたと思います。この先の航海の指針は、もちろんお客様の“喜び”です」(原田社長)
時計屋の仕事は、高級時計を何本も売ることではない。お客様と愛着ある時計に愚直なまでに寄り添い、思いを紡いでいくこと。原田社長のこの言葉通り、HARADAはこれからもユーザーとの絆を深めていく。
時計との特別な出合いがここにある
100年、刻み続ける「確かな安心」