“素材のためのデザイン”「UNDECORATED(アンデコレイテッド)」の洗練された世界観
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    ファッション

    “素材のためのデザイン”「UNDECORATED(アンデコレイテッド)の洗練された世界観

    2024.04.26

    “飾らない”という意味をもち、洗練されたデザインとこだわりの素材で東京のファッションを牽引する「UNDECORATED(アンデコレイテッド)」。緻密で上品なデザインワークに加えて、デザイナー自らのセンスで選ぶ異業種とのイベント開催など、独自の世界観をつくりあげている。UNDECORATEDデザイナーの河野 貴之(こうの たかゆき)さんに、ブランドの“こだわり”についてお話しいただいた。

    取材/TAKANORI ITO
    協力/NOZOMU TANAKA(Revolution PR)

    着飾らない人の内面を表現する

    株式会社groundfloor UNDECORATEDデザイナー 河野 貴之(こうの たかゆき)さん

    ――ブランドのスタートについて教えてください。

    「2008年(2009年秋冬シーズン)に弊社の代表であるyoshiokuboデザイナーの久保 嘉男(くぼ よしお)が『undecorated MAN(アンデコレイテッド マン)』を立ち上げたのですが、そこからメンズウエアブランドとしてスタートしました。

    その頃、私は久保の企画アシスタントとして、yoshiokuboとundecorated MANのものづくりを一緒にやっていましたが、2016年の秋冬シーズンから、リブランディングというかたちで私とデザイナー交代をしました。2018年にはundecorated MANからUNDECORATEDにブランドネームを変え、メンズブランドからユニセックスにして展開しています」

    ――UNDECORATEDの基本コンセプトを教えてください。

    「ブランド名がそのままコンセプトに紐付いているのですが、アン・デコレイテッドで“飾らない”という意味が込められています。この“飾らない”というのは内面的な意味であってシンプルということではなく、“着飾らない人の内面”を表現しています。

    さらにリブランディングのタイミングで“素材のためのデザイン”というコンセプトをつくりまして、このコンセプトを大きなものとして捉えています」


    ―― “素材のためのデザイン”とは、どのような考え方なのでしょうか?

    「服づくりの順序として、先ずは素材開発からはじめます。UNDECORATEDは、7割ほどがオリジナルファブリックを開発して使っているので、素材をつくり込んで、その素材に合うデザインを落とし込んでいくのですが、つくり込んだ素材をそのまま見せるような必然的にシンプルなデザインになっています。

    デザインは半年ごとのシーズンで区切られるのですが、素材づくりは2〜3年ぐらい前から準備をしておいて、そのシーズンのデザインに取りかかったときにあらかじめつくった素材を用いるという作業がUNDECORATEDのデザインワークになっています。

    その素材づくりも、天然繊維と、化学繊維は100%リサイクルのものしか使っていないんです。2016年に私がUNDECORATEDをはじめた頃は、天然繊維しか使っていなかったのですが、着たときのあたたかみや、触れたときの優しさだったりというものが好きで、それが素材開発のみなもとになっていると思います」

    ハイゲージの裏毛編みでつくられた定番Tシャツ

    ――毎年リリースしているような定番アイテムはありますか? また、2024年春夏のアイテムを紹介していただけますか?

    「定番的なアイテムですと無地のTシャツになります。Tシャツというと天竺編みというのが一般的ですが、このアイテムはすごく細かく編めるハイゲージの裏毛編みでつくられていまして、よく見ると裏側が細かな裏毛になっているんです。肌に触れる面がループ状になっているため、着心地がとても軽く、快適さを感じていただけると思います」

    Recycle Organic Cotton Compact Terry S/S T-Shirt 16,500円(税込)

    商品詳細はこちら

    アーティスト「津島タカシ」氏の絵を落とし込んだファブリック

    ――今シーズンのラインナップで特別感のあるアイテムはありますか

    「イラストレーターであり絵本作家でもあるアーティストの『津島タカシ(つしまたかし)』さんの絵を使ってテキスタイルをつくらせてもらいました。象の絵が大きく描かれているのですが、この絵を裁断して、シャツやワンピースなどさまざまなアイテムに落とし込んでいます。絵のどの部分が製品の身頃や襟などになるのかがわからないので、まったく同じものは2枚とないというのがこの服の特徴です」

    象のいる幻の風景

    「津島さんの動物しか描かないところや、絶妙な色使いなどがもともと好きで、彼の絵をそのまま洋服に載せるのではなくて、引き延ばすことで色目を服に取り込めて、なおかつ着てくれる人は、後でもとになった作品を見て答え合わせのようなことができるものになったと思います」

    Fantasy Landscape S/S Shirt by Takashi Tsushima 38,500円(税込)

    天然繊維と100%リサイクルの化学繊維を合わせたテキスタイル

    ――素材開発の側面から他ではあまり見ないようなアイテムはありますか

    「綿の糸とポリエステルのフィラメント糸で織っているボーダー柄の生地なのですが、風が抜けるように濃い色の部分が透け感のある仕様になった生地なので、メンズで透け感のある服だとなかなか着てもらえないと思うんです。ですが、このアイテムはピッチの細いボーダーで透けている感じも分かりづらく、着やすいと思います」

    Sheer Border S/S T-Shirt 19,800円(税込)

    UNDECORATEDが選ぶ、異業種とのイベント「とUNDECORATED」に注目

    石川県の『NiOR』を招いて開催されたときのイベントビジュアル

    ――不定期で開催されているイベント「とUNDECORATED」に付いて教えてください

    「前回で9回目の開催だったのですが、きっかけはコロナだったりSNSだったり時代風潮のなかでファッションという言葉が洋服を通り越してライフスタイル全体を指すようになったと思うんです。UNDECORATEDの洋服を買ってくれる方々が、洋服以外のコンテンツにも触れられる機会をつくりたいと思ったのがきっかけではじめた、POPUPショップのようなイベントです。

    私自身もともと陶芸が好きなのですが、洋服と一緒に陶芸を見せたいと思いまして、陶芸家の 『内田智裕(うちだ ともひろ)』さんや、ガラス工芸作家の『山野 アンダーソン 陽子(やまの アンダーソン ようこ)』さんをお呼びして、イベントを開催しました。前回は石川県のパン屋さん『NiOR(ニオール)』をお招きしたのですが、衣食住から私が影響をうけた方たちにお声がけをさせてもらって、同じ空間で共有しています。

    今年の5月に韓国のアーティスト『Soo Heyon Kim(ソー・ヘヨン・キム)』さんと一緒に自社スペースでこのイベントを開催する予定です」

    アイテム一点一点から上質さが伝わってくるUNDECORATED。河野氏のセンスやアイディア、オリジナルファブリックをつくる工場や職人さんの技術に知恵など、すべてが合わさった、ただのシンプルでも、ただの上質でもない、独自の世界観をつくりあげている。

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    • 伊藤孝法
    • 伊藤孝法

    • ファッション、メンズビューティーのジャンルでさまざまな媒体で執筆中。中目黒の老舗セレクトショップOUTPUTオーナーでもあり、ブランドのセールスやPRを手がける。WWDファッショニスタ100人がリコメンド!にも参加。故郷北海道でFM番組のパーソナリティーも担当している。

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