匠のモノ語り
かつお節専門店にんべん

かつお節ひと筋に粛々と。その伝統を未来につなげる

江戸時代から続くかつお節専門店

江戸時代から続くかつお節専門店「にんべん」。近年はかつお節だしのスープや惣菜などを味わえる「日本橋だし場(NIHONBASHI DASHI BAR)」を開設するなど、伝統を守りながら時代に合った新しい挑戦を続けている。高たんぱくで、ビタミンB6、B12、ミネラル、鉄、亜鉛などを含みながら、だしとしては塩、しょうゆ、みそを控えてもかつお節だしの旨味で、料理が美味しく仕上がる。栄養面や減塩食材としても評価が高まっているかつお節。また世界的な和食ブームの中、かつお節削り器がインターネットを中心に売れているという。

にんべんnet倶楽部

丁寧な製造法で、かつお節の存在と
本物の味を守っていく

2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界でも注目されている和食。その和食を支えているのはかつお節であるといっても過言ではない。そのかつお節ひと筋でのれんを守ってきたのが、1699年(元禄12年)創業の「株式会社にんべん」だ。

かつお節の製造はまず、生のカツオを煮て薪で燻したものを「荒節」といい、その荒節の表面を削って裸節にしたものにカビ付け・日乾を繰り返して、熟成させたものを「枯節」という。枯節の中でも、カビ付け・日乾工程を4回以上繰り返した、鰹節の最高級品をにんべんでは、「本枯鰹節」という。

最高級の本枯鰹節
写真は本枯鰹節

本枯鰹節を、削らずに節のままの状態で販売する、「本節」を扱っているのもにんべんの特長だ。

カツオの背側が「雄節」、腹側が「雌節」。ふたつを組み合わせたかつお節は、古くから結婚式の引き出物として使われた縁起物だ。味はもちろん、見た目の美しさも重要。焼津では、昔ながらの丁寧な手法と熟練の技をもつ、1908年創業の「株式会社山七」と提携し、本枯鰹節の製造を行っている。山七は“焼津で一番いい本枯鰹節を手づくりで”をモットーに、少人数でかつお節1本1本に心をくだきながら、製造を行っている。

近年、にんべんと山七では、小中学校へのかつお節教室や親子の工場見学を受け入れるなど、「食育」にも力を入れている。子どもたちは、削りたてのかつお節の味と香りに感動し、かつお節削り器を親にねだることも。日本人がかつお節自体を食べる機会が減っている一方、ユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、和食が見直されていることを感じているという。現に、にんべんnet倶楽部では、月に数十台のかつお節削り器が売れているのだとか。

山七のような製造業者とタッグを組み、にんべんは、かつお節自体を残し、その味を守っていくことが使命だと考えている。

かつお節の日乾し
株式会社山七 代表取締役社長 鈴木隆さん。急な雨など、かつお節の日乾には片時も目が離せない。本枯鰹節の製造は、焼津市内では山七のみ。

削りたてのかつお節の香りと風味を、家庭に届けたい

(左)かつお節の製造工程 / (右)本枯鰹節の製造工程
<左>煮熟肉と生肉を混ぜ合わせたものをぬって、形を整える。
<右>燻し終わってできた荒節の表面の黒い部分を削り落とす。そこにカビをつけ作業を繰り返して、本枯鰹節になる。
伝統的なかつお節の製造工程

かつお節の製造に向く生のカツオは、雄節と雌節の4本が取れるもので4.5kg~6kg、背と腹に分けずに3枚におろしたままの形(亀節)でつくるもので約2kg。脂肪分はあまり多くないものが最適だ。4種類の包丁を使い分けて、丁寧におろされたかつおは、80℃~85℃の煮窯に入れ、92℃で90分~120分煮る。風通しのよいところで冷まして身を引き締め、骨抜き、背皮を頭部から全体の1/2~2/3剥ぎ取り、せいろに並べて、コナラなどの薪を燻して水分を飛ばす。

翌日、骨を抜いたときなどに破損した部分を、煮熟肉と生肉を混ぜてすりつぶして裏ごししたものを塗って、形を整える。その後、日数をかけて10~15回燻して、少しずつ乾燥させる。この時点でできた荒節の表面を削り、カビ付けをし室に入れて1番カビを生やし、日乾、再びカビを生やす。それを4回以上繰り返し本枯鰹節ができあがる。山七で行われるその作業日数は4~6か月。その本枯鰹節が、にんべんの大井川事業所に送られる。そこで、ベテランの職人により選別される。

また、大井川事業所では、にんべん独自のハイソフト方式で削ったものを小袋に詰めた「フレッシュパック」の製造も行っている。100種類以上の成分が複雑にからみあって香りを形成する、かつお節。「削りたてのかつお節を味わってもらいたい」という一心で、香りと風味を守るために迅速にパックにつめ、製品にしている。

さらに、大井川事業所では、本枯鰹節が持つだしの味と香りを風味保持製法で再現しただしパック、「本枯鰹節 薫る味だし」の製造も行っている。本格的な料理用だしや、調味料としても使える、近年のヒット作だ。にんべんは“かつお節のプロ”として、これからも、伝統を守りながら新しいものに挑戦をしていくという。

株式会社にんべん
株式会社にんべん 製造部 大井川事業所 所長 増田明久さん。約70人の事業所のスタッフをまとめる、入社39年のベテラン社員。「かつお節の伝統を守るのは、にんべんの役目」と胸を張る。

Three Focus Storys

  • 削り器で削ると、かつお節の本当のおいしさが伝わる

    削り器で削るかつお節

    にんべんが近年、力を入れているのが食育。鉋(かんな)で削ったかつお節の味は、子供たちにも大好評だ。かつお節は、頭を自分のほうに向け、皮が付いた部分を上向きにして、先端を少し浮かせるようにして、前に押し出すようにして削る。力の加減や刃の出具合によって厚みが変わる。そのまま食べるときは、透けるように薄く削ると、口の中でふわっと溶けるような感覚に。削った後は、ラップに包むか、ファスナー付きの保存袋に入れて冷蔵庫に保存するのがオススメ。

  • 1本1本を太陽にかざして、品質を見極める

    最上級のかつお節

    にんべんの大井川事業所には、山七をはじめ全国3か所の製造所から、本枯鰹節が送られてくる。晴れた日に、目利きの職人が、節を選別。表面につけたカビが、小さなヒビから節の中にまで入り込むことがあるので、太陽の光にかざして内部の状況を1本1本チェックする。最上級の本枯鰹節は脂肪分が2~3%。その脂肪分は節に残った皮のちぢれ具合で見分ける。最上級になる節は、全体の1割程度しかない。

  • 良質のかつお節だからこそできる、こだわりの加工商品

    こだわりのだしパック

    大井川事業所で、1日30,000個が製造されている、にんべんの近年の自信作「本枯鰹節 薫る味だし」。なるべく熱をかけない風味保持製法で、削りたてのかつお節の香りと引きたてのだしの香りを最大限に生かしただしパック。だしの鮮度を追求すべく、空気中の酸素による変化を防ぐ不活性ガスを充填し、1個ずつ包装しており、「かつお」、「かつお・昆布」、「焼きあご入り」の3種類がある。

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